Theme et variations Op.73とは? わかりやすく解説

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フォーレ:主題と変奏 嬰ハ短調

英語表記/番号出版情報
フォーレ主題と変奏 嬰ハ短調Theme et variations Op.73作曲年1895年  出版年1897年  初版出版地/出版社: Hamelle 

作品解説

2007年7月 執筆者: 齊藤 紀子

 1895年秋に作曲され翌年12月ロンドン行われたフォーレ・フェスティヴァルにてレオン・ドゥラフォスにより初演された。出版はそのまた翌年1897年で、テレーズ・ロジェ嬢に捧げられている。主題11変奏からなるが、第10変奏までは主調嬰ハ短調音楽構成され最後第11変奏になってようやく同主長調嬰ハ長調音楽が響く。このように最後まで長調先延ばしする手法特徴的であると同時に、非常に効果的となっている。
主題は、クアジ・アダージョで、4小節ずつの5つ楽節からなる。それは、ABA’BAとなっており、3部形式中間部以降繰り返すかのようである。変奏される際には、この反復なされる場合なされない場合がある。また、なされる場合であってもリピート記号よるもの音符として記譜されているものとがある。尚、この作品1910年パリ音楽院卒業試験課題曲となったが、その際フォーレはリピート・カットを認めている。主題においても変奏においても、AとA’の違い主として和声現れている。そして、最後2つ変奏に関しては、3部形式とらわれない自由な構成書かれている
第1変奏は、主題とロ・ステッソ・テンポであるが、主旋律左手低音響き(ドルツェ・エ・ソステヌート)、右手ピアニッシモ高音域を上下行する1本のライン奏する。更に、中音域には後打ちをする8分音符がある。従って、この変奏通して3声部弾き分け尚且つ声部横の流れを保つことが求められる
第2 変奏は、リットフェルマータを伴うことなく前の変奏から続けて演奏される。ピウ・モッソになる。ここでは、奇数拍で上行し、偶数拍で反行する左右の手による外声特徴的である。Bの部分では、左右の手双方見られる主旋律保ちながら、その他の音を弾くところに演奏上の技巧求められる
第3変奏は、単音開始する主旋律途中からオクターヴ重ねられ旋律扱いそのもの巧妙さうかがえるまた、ここから第5変奏までの間、拍子が4分の4拍子から4分の3拍子となる。従って、演奏に際しては、この3つの変奏では、3拍子の持つ性格求められる同時に、これらを一息奏する感じをどの程度表現するかを熟考する必要がある
第4変奏は、前の変奏とロ・ステッソ・テンポである。主旋律左右の手行き来するまた、所々挿入される合いの手のような役割を果たすフレーズ効果的である。
第5変奏は、ウン・ポコ・ピウ・モッソで、前の変奏複縦線上に付されフェルマータ経て開始する主として左右の手奏する反行形から成り時折並進行が挿入されるところに妙なるものが感じられる
第6変奏はモルト・アダージョで、音価強弱異なる3声部弾き分け変奏となっている。また、この変奏中におけるリズム変奏見られる
第7変奏はアレグレット・モデラートで、対位法的な手法シューマン思わせると言われている。右手追いかける左手フレーズ忠実なところもあるが、半音変化みられるところもあり、1音の変化のもち得る表情相違巧みに表現されている。
第8変奏はアンダンテ・モルト・モデラートで、上声主旋律内声左右の手による3度並進行、中間部保続音見られる低音から成る
第9変奏は、主題よりやや遅めのクアジ・アダージョで、半音階的音の動き豊富に用いられノクターン風の性格をもつ。また、途中に1小節のみ4分の2拍子挿入させるなど非常に手の込んだものとなっている。
第10変奏はアレグロ・ヴィーヴォで、第7変奏とはまた違った意味でシューマン風とされている。主旋律左右の手行き来し、広音域わたって響く。前半ピアニッシモ留め後半フォルテッシモへとクレッシェエンドする強弱構成は、この変奏の持つ無窮動性格相俟って、非常に効果的である。また、この変奏から再び3拍子となる。
第11変奏は、前述通り同主長調嬰ハ長調作品全体締めくくるポリフォニック構成で、主旋律対旋律美しさ際立っている。作品全体としてクライマックス第10変奏築き、ここではフォルテッシモになることはあっても、性格的には地に足着いたものとして書かれていることが印象的である。また、第9変奏のように、途中で1小節のみ4分4拍子挿入される
この作品演奏に際しては、各変奏テンポ設定が重要である。フォーレメトロノームによるテンポ表記付しているが、この表記と各変奏性格吟味し作品全体としてテンポ構成把握することが大切である。




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