SN1反応とは? わかりやすく解説

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SN1反応

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/25 00:20 UTC 版)

SN1反応(エスエヌワンはんのう)とは、有機化学における置換反応の一種である。"SN" は求核置換反応(nucleophilic substitution)であることを示し、"1" は律速段階単分子反応であることを示している[1][2]。したがって、反応速度式求電子剤の濃度の1乗、求核剤の濃度の0乗に比例した式になる。これは求核剤がカルボカチオン中間体に比べて過剰にある場合でも成り立つが、この場合反応速度式は定常状態速度論英語版を用いてより正確に記述することができる。反応にはカルボカチオン中間体が関わっており、二級や三級のハロゲン化アルキル強塩基下または強酸下で第二級ないし第三級のアルコールと反応する際に観察される。一級のハロゲン化アルキルについては代わりにSN2反応が起きる。無機化学では、SN1反応は「解離性置換反応英語版」としばしば呼ばれる。解離の経路についてはシス効果英語版によって記述される。SN1反応の反応機構クリストファー・ケルク・インゴールドらによって1940年に提唱された[3]。 この反応はSN2反応ほど求核剤の強さに依存しない。


  1. ^ L. G. Wade, Jr., Organic Chemistry, 第6版., ピアソン/プレンティス・ホール英語版, アメリカニュージャージー州アッパー・サドル・リバー英語版,2005年
  2. ^ March, J. (1992). Advanced Organic Chemistry (4th ed.). ニューヨーク: Wiley. ISBN 0-471-60180-2 
  3. ^ “188. Mechanism of substitution at a saturated carbon atom. Part XXIII. A kinetic demonstration of the unimolecular solvolysis of alkyl halides. (Section E) a general discussion”. Journal of the Chemical Society (改訂版): 979. (1940). doi:10.1039/JR9400000979. 
  4. ^ Peters, K. S. (2007). “Nature of Dynamic Processes Associated with the SN1 Reaction Mechanism”. Chemical Reviews 107 (3): 859–873. doi:10.1021/cr068021k. PMID 17319730. 
  5. ^ 峯岸信也、Robert Loos、小林進 二郎、Herbert Mayr, 「SN1反応の完全なエネルギープロファイル」『基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)』 17(0), 36-36, 2004 、基礎有機化学会(第17回基礎有機化学連合討論会)
  6. ^ Wagner, Carl E.; Marshall, Pamela A. (2010). “Synthesis of 2,5-Dichloro-2,5-dimethylhexane by an SN1 Reaction”. J. Chem. Educ. 87 (1): 81–83. doi:10.1021/ed8000057. 
  7. ^ Sorrell, Thomas N. "Organic Chemistry, 2nd Edition" University Science Books, 2006
  8. ^ エルンスト・グルンワルト英語版 & ソウル・ウィンスタイン英語版 (1948). “The Correlation of Solvolysis Rates”. 米国化学会誌 70 (2): 846. doi:10.1021/ja01182a117. 
  9. ^ Arnold H. Fainberg & S. Winstein (1956). “Correlation of Solvolysis Rates. III.1 t-Butyl Chloride in a Wide Range of Solvent Mixtures”. 米国化学会誌 78 (12): 2770. doi:10.1021/ja01593a033. 


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SN1反応

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求核置換反応」の記事における「SN1反応」の解説

詳細は「一分子求核置換反応」を参照 脱離基が三級炭素上にある基質プロトン性溶媒溶かすと、平面状のカルボカチオン得られる。これに求核試薬攻撃する。求核攻撃カルボカチオンのどちら側からも起こるので、生成物中心炭素絶対配置は決まらず、ラセミ体となる。(なお、カルボカチオン生成段階で、脱離基カルボカチオン近傍存在するため、生成物は完全にはラセミ体はならず一部ラセミ化した状態となる。これを部分ラセミ化と呼ぶ。)この機構IUPAC命名法では DN + AN と表記される

※この「SN1反応」の解説は、「求核置換反応」の解説の一部です。
「SN1反応」を含む「求核置換反応」の記事については、「求核置換反応」の概要を参照ください。

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