求電子付加反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/09 02:11 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動有機化学において 求電子付加反応(きゅうでんしふかはんのう、electrophilic addition)とは、付加反応の一つで、求電子剤の作用により化合物のπ結合が解裂し新たに2つの共有結合が生成する反応である。求電子付加反応の基質は二重結合か三重結合を持つ必要がある。
この反応の駆動力となるのは、不飽和C=C結合が求電子剤 Y+ とつくる共有結合 C-Y の形成である。Y 上の正電荷は炭素-炭素結合に移る。
- 段階1)
求電子付加反応の段階2では正電荷を持つ中間体が、電子が豊富な Z と結合して2番目の共有結合を形成する。
- 段階2)
段階2は、SN1反応に見られる求核攻撃過程と同じである。求電子剤と正電荷中間体の性質はいつも同じわけではなく、反応物質と反応条件に左右される。
炭素への非対称付加反応では、位置選択性は重要でありしばしばマルコフニコフ則によって決定されるが、ボラン誘導体の付加では逆マルコフニコフ則を与える。芳香族系への求電子攻撃では、付加反応より芳香族求電子置換反応の方が優先して起こる。
主な求電子付加反応
- ハロゲン付加反応 - X2
- ハロゲン化水素化 - HX
- 水和反応 - H2O
- 水素化 - H2
- オキシ水銀化 - 酢酸水銀(II)、水
- ヒドロホウ素化 - ジボラン
- プリンス反応 - ホルムアルデヒド、水
関連項目
求電子付加反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 03:56 UTC 版)
「求電子付加反応」も参照 反応機構的には二重結合(ないしは三重結合)のπ電子にカチオン種が付加し、次いで生成したカルボカチオン(C+)をアニオン種が攻撃して付加反応が終結する。生成物の立体化学的考察より、多くの場合、二重結合平面に対してカチオン種とアニオン種がトランス方向(anti-periplaner方向)から付加することが確認されており、遷移状態は非古典式カルボカチオン(non-classical catbocation)を経由していると考えられている。また反応によっては古典式カルボカチオン(classical catbocation)を経由している場合もある。 求電子的付加反応の生成する異性体に関して、マルコフニコフ則とザイツェフ-ワグナー則が知られている。両者とも実験からの経験則で、次に示す。 マルコフニコフ則:"HX付加の場合、置換基の多い側にXが付加する" ザイツェフ-ワグナー則:"両炭素の置換基数が同等のオレフィンへのHX付加の場合、XはCH3-基が置換している方、あるいは末端に近いほうの炭素に付加する" これらの法則は、遷移状態のカルボカチオンのうち、置換基のI効果によりδ+の電荷が安定化されるほうにX-が攻撃するためであると理解されている。カルボカチオンの安定化は芳香環による共鳴、水素原子による超共役によっても引き起こされる。 求電子付加の例付加試薬付加される化合物生成物H3O+ R2C=CR2 R2C(H)-(HO)CR2 H2SO4 R2C(H)-(OSO3H)CR2 X2 R2C(X)-(X)CR2 X2, H3O+ R2C(X)-(HO)CR2 HX R2C(X)-(H)CR2 NOCl R2(NO)-(Cl)CR2
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