アルケンからの合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/10 07:43 UTC 版)
「有機ホウ素化合物」の記事における「アルケンからの合成」の解説
この合成法はノーベル化学賞を受賞したハーバート・ブラウンによって開発された。ボランはヒドロホウ素化によりアルケンと速やかに反応する。ジボランは純粋な化合物ではBH3の二量体だが、THFなどの溶媒とは1:1錯体を作る。HX(X = Cl、Br、Iなど)がアルケンに付加する通常の求電子付加反応ではマルコフニコフ則にしたがって水素など電気陰性度の高い原子が二重結合の両側の炭素のうち置換基の少ない方に結合し、位置選択性を決める。しかしホウ素は水素より電気陰性度が低いため、ボランが付加する際は置換基が少なくカルボカチオンとなりにくい方の炭素にホウ素が結合する、いわゆるいわゆるアンチマルコフニコフ付加が起こる。 この方法は、置換基がかさ高い場合に非常に有効である。よく用いられるのはシクロオクタジエンとジボランから合成される9-BBNである。ヒドロホウ素化はアルケンの二重結合の同じ側から付加する、シン配置になるように立体特異的に進む。この縮合反応では遷移状態が炭素、炭素、水素、ホウ素を頂点とする平面四角形で表現され、オレフィンのp軌道とホウ素の空軌道の軌道の重なりが最大になるように配置される。
※この「アルケンからの合成」の解説は、「有機ホウ素化合物」の解説の一部です。
「アルケンからの合成」を含む「有機ホウ素化合物」の記事については、「有機ホウ素化合物」の概要を参照ください。
- アルケンからの合成のページへのリンク