OGLE-2005-BLG-390L bとは? わかりやすく解説

OGLE-2005-BLG-390Lb

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 15:11 UTC 版)

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OGLE-2005-BLG-390Lb
イメージ画像
星座 さそり座
発見
発見日 2006年1月25日
発見者 PLANET/RoboNet,
OGLE, MOA
発見場所  チリ
発見方法 重力マイクロレンズ法
現況 公表
軌道要素と性質
前回近点通過 JD 2,453,582.73 ± 0.005
OGLE-2005-BLG-390Lの惑星
主恒星からの平均距離 2.0 - 4.1 au
運動角 157.9 ± 0.2 °
主星
視等級 15.7
スペクトル分類 M4
位置
赤経 (RA, α)  17h 54m 19.2s
赤緯 (Dec, δ) −30° 22′ 38″
距離 21,500 ±3300 光年
(6,600 ±1,000 pc
物理的性質
質量 5.5 M
表面温度 ~50 K
他のカタログでの名称
EWS 2005-BUL-390Lb, EWS 2005-BLG-390Lb
Template (ノート 解説) ■Project

OGLE-2005-BLG-390Lb は、恒星OGLE-2005-BLG-390Lを公転する太陽系外惑星である。地球から 21,500 ± 3,300 光年離れた、天の川銀河の中心付近に位置する。2006年1月25日に PLANET/RoboNet (Probing Lensing Anomalies Network/Robotic Telescope Network)、OGLE (Optical Gravitational Lensing Experiment)、MOA (Microlensing Observations in Astrophysics) が、2006年1月現在、人類が発見したなかで最も地球に似た系外惑星であるとして発見を公表した。

物理的特徴

OGLE-2005-BLG-390Lbは中心の恒星からの平均距離が 2.0 から 4.1 auである。これは太陽系でいうと火星木星の間に相当する。値の範囲は測定と計算の誤差によるものであり、近日点遠日点ではない。離心率を含め、多くの軌道要素は未だ知られていない。この惑星が発見される以前は、0.15 auより大きい公転半径を持つ小型の系外惑星は知られていなかった。この惑星は10かけて恒星を一周する。

OGLE-2005-BLG-390Lbの主星OGLE-2005-BLG-390L赤色矮星である可能性が高いと考えられているが、白色矮星である可能性もあり、ごくわずかであるが中性子星ブラックホールである可能性もある。その正体が何であるにせよ、太陽にくらべわずかなエネルギーしか放射していない。位置はさそり座赤経17h 54m 19.2s、赤緯-30°22' 28"(元期J2000)。

OGLE-2005-BLG-390Lbの位置
画面中央に十字で示した。さそり座に位置し、いて座との境界にも近い。

惑星の質量は地球の5倍程度と見積もられている。天文学者の中には、この惑星は地球のような岩石の核を持つ惑星であり、希薄な大気を持つと推測するものもいる。OGLE-2005-BLG-390Lの温度と距離から、惑星の表面温度は53K(-220)と考えられている。この温度では、地球では液体、あるいは気体で存在するアンモニアメタン窒素などはすべて凍ってしまう。もし岩石型惑星でないのなら、天王星のような冷たい氷惑星だろう。

この惑星が重要なのは、その大きさや組成ではなく、小さくて恒星から離れた惑星が発見できたという事実である。小さいという点では、この惑星以前に発見されたグリーゼ876dという惑星があるが、これは恒星のすぐそばに存在し、公転周期はわずか3地球日である。この惑星はそれまで発見された惑星と違い、小さく、かつ公転半径が大きいという点で、これまで発見された系外惑星に類を見ない。

発見

2005年8月10日チリにあるESOラ・シヤ天文台で、デンマークの保有する1.54mの望遠鏡が、惑星の存在を示す徴候を検出した。この望遠鏡はPLANET/RoboNetの重力マイクロレンズキャンペーンによって使われていた望遠鏡ネットワークの一部であった。この観測を引き継ぐ形で、オーストラリア西部にあるパース天文台の0.6m望遠鏡によって追跡観測が行われデータが集められた。

遠くの光源から発せられた光が、観測者から見て手前にある天体の重力場によって集められ明るく見える現象を重力レンズ効果という。一般的な重力レンズ現象は遠くの銀河の光を別の銀河が集めるという非常にスケールの大きい現象をさすが、重力マイクロレンズとは、手前の天体が恒星や惑星などの比較的小さい質量しかもたない場合に使われる言葉である。手前の天体(主星)が惑星を持つ場合、惑星が光源と観測者の間を横切るときにも重力レンズ現象が起こるため、主星による増光現象のグラフを拡大すると、そのなかに惑星による増光を示すグラフが棘のような形でまぎれ込む[1]。このグラフを解析することによって今回のように惑星を発見することができる。

PLANET/RoboNetのキャンペーンでは、ポーランドOGLEまたは日本ニュージーランドMOAによって報告された重力マイクロレンズ現象を多くの望遠鏡で観測することによって惑星を探す。OGLE-2005-BLG-390Lbの場合、OGLEが検出し、早期警戒システムにより報告されたOGLE-2005-BLG-390というマイクロレンズ現象を、PLANETのチームが追跡観測と分析を行うことで惑星が存在する証拠を発見した。

PLANETのチームはOGLE-2005-BLG-390Lの重力マイクロレンズ現象を2週間にわたって観測し、この期間に15%の増光が12時間にわたり観測された。これにより惑星の質量と恒星からの距離が算出された。

関連項目

外部リンク、参考文献


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