NICOLA規格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 16:26 UTC 版)
NICOLA規格には、オリジナルのNICOLA配列規格書に示された配列のほかにJIS化案の形で、OASYS100以降の親指シフトキーボードの仕様を継承したF型と、ANSI仕様の英文キーボードとの互換性に配慮したA型と、JISキーボードとの互換性に配慮したJ型のバリエーションがある。ここではJIS化案のJ型配列を元に、NICOLA配列規格書について紹介する。 上図の白色部分は、NICOLA規格では未定義とされ、実装者に任されている箇所である。エスケープ、バックスペース、エンター、半角/全角、英数、タブ、スペース、Ctrl、Altなどのキーをこの領域に配置する。 OASYS100配列と比較して、以下のような特徴がある。 濁音になり得ない文字が割り当てられた「ら」「,」「め」「ね」「い」のキーと左親指シフトキーとの同時打鍵に「ぱ」「ぴ」「ぷ」「ぺ」「ぽ」をそれぞれ割り当て、小指シフトキーを用いなくても半濁音を入力できるようにした。小指シフトキーはNICOLA配列規格書において未定義となっているため、NICOLA配列規格書のみを参照した場合は小指による半濁音の入力を行うことはできない。しかし実装上は、NICOLA規格と親指シフト規格それぞれの上位互換となるよう設計しても矛盾はないため、半濁音入力が二通り可能となるように配列定義が設定されている場合もある。 後退キーをホームポジション付近から外した。JISキーボードから移行したり、JISキーボードと併用するユーザーが混乱しないための措置である。 右手小指で打鍵する領域にキーを追加した。JISキーボードにあって親指シフトキーボードになかったキーを追加したものである。追加されたキーは英字入力用であり、日本語入力には使用しない。上の図では日本語入力時の配置のみを示しているため、空白になっている。 親指シフトキーの下にあった、変換/無変換キーがオプション扱いになった。ノートパソコンなどでは変換/無変換キーの設置スペースを確保することが難しい。 親指シフトキーボード専用のハードウェアやデバイスドライバを作成したくない。 といった理由から、独立した変換/無変換キーを設置せず、親指シフトキーと兼用することを認めている。 親指左キーを単独打鍵すると無変換キー、親指右キーを単独打鍵すると変換キーの動作となる。 実際の製品の中には、物理的には独立した変換/無変換キーがあるものの、変換/無変換キーと親指シフトキーが同一のキーコードを発生するため、ソフトウェアからは兼用されているものと同じように処理する必要がある、というものもかつては存在していた。 なお、日本語入力コンソーシアムが提案しているJIS化提案では、親指キーの配置については「位置」ではなく「領域」で指定されている。富士通が販売しているデスクトップ用親指シフトキーボードや本格的な親指シフト規格ノートPCでは、親指左キーと親指右キーを隣接配置し、その右側に空白キーを置くのが通例である。 一方、JIS X 4064:2002の附属書2付図2では、JIS化提案要件を満たしたうえで「キーボード中央に空白キーを配置」したNICOLAキーボードが提示されている(同附属書は規定の一部ではない)。 製品としては「快速親指シフト」キーボードを搭載するノートPCが一時期生産されたものの、大手の専門販売店がこれを推奨せず、この仕様は商業的価値を失った。 のちに 勝間和代は「自宅では専用キーボードを接続するものの、外出先では Panasonic の Let's note が持つJISキーボードをそのまま使って親指シフト規格での入力を行う」という趣旨の利用方法を紹介したように、非商業的な親指シフト規格の利用法としては、一定の支持を得て使われ続けている。
※この「NICOLA規格」の解説は、「親指シフト」の解説の一部です。
「NICOLA規格」を含む「親指シフト」の記事については、「親指シフト」の概要を参照ください。
- NICOLA規格のページへのリンク