Nの家族とは? わかりやすく解説

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Nの家族(小出楢重筆 一九一九/油絵 麻布)

主名称: Nの家族(小出楢重筆 一九一九油絵 麻布
指定番号 2005
枝番 0
指定年月日 2003.05.29(平成15.05.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 1面
時代区分 大正
年代
検索年代
解説文:  小出楢重【ならしげ】は、大阪生まれ岸田劉生りゅうせい】や中村彝【つね】らと同時代の画家であり、黒田清輝以来主流となっていた白馬会系の当時洋画壇に飽きたらず、単なる洋画輸入ではなく日本独自油絵確立しよう真摯に努めた画家一人である。「Nの家族」は大正八年第七二科展出品され、他の二点とともに有望な新人与えられる樗牛賞を贈られそれまで不遇であった画家画壇地歩を築くきっかけとなった作品である。
 小出は、「Nの家族」制作において、明らかにこのような意識のもとに、確固とした構図技法による本格的な油絵描こうとしていたことが推測されるが、後年、自ら「日本人油絵共通した欠点は、絵の心ではなく、絵の組織古格伝統欠乏である」(『油絵技法』)と記し一方で高橋由一川村清雄、あるいは原田直次郎等の絵を見て如何に西洋古格模しているかがわかる」(同前)と述べており、そのような信念萌芽看取されよう蝋燭の光を思わせる陰影や、フランドル等の室内画思わせる背景描かれた鏡やカーテンホルバイン画集、そしてセザンヌ風の手前の静物など、雑多な要素連想させるうえに、三人人物画面いっぱい大きさ描かれているというように、ともすれば煩雑不統一画面なりかねない構成であるが、実際にきわめて均衡のとれた緊密な構図重厚な色彩をもった、密度の高い作品となっている。
 制作当時、すでに劉生や河野通勢等の画家北欧ルネサンス風の写実的な表現追求していたが、本図画風はそれらの影響というよりは、小出自身必然的な欲求起因するものというべきであろう画家関心描かれる対象自体写生ではなくあくまでも画面における造形的な均衡充実にあり、そのような姿勢大正十年渡欧経て晩年に至る、小出裸婦静物画群においても一貫しているといえよう
 本図小出楢重前期代表作であるばかりでなく、その緊密で力強い構成表現により大正時代洋画代表する一作いえよう


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