JRと私鉄、第三セクターの区分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 23:34 UTC 版)
「鉄道事業者」の記事における「JRと私鉄、第三セクターの区分」の解説
1987年3月31日まで、法的に国鉄と私鉄という二つの区分が存在した。国鉄は、日本国有鉄道法に基づき公社としての日本国有鉄道が経営した鉄道である。これに対し地方鉄道法または軌道法に基づき民間企業および公営企業が経営した国鉄以外の鉄道・軌道を私鉄(または民鉄)と呼び、私鉄の路線は会社線(社線)と呼んだ。 国鉄の分割民営化により、すべての鉄道事業者が鉄道事業法および軌道法に管轄されることになった。JR(グループ)は一般的には私鉄(民鉄)とは呼ばないが、JR東日本・西日本・東海・九州に関しては完全民営化された「民間企業」のため、実際は私鉄(民鉄)の一種であるといえる。また、それ以外のJRグループ各社は「公私合同企業」である。「会社線」という呼称についても、JRの乗車券に例えば「東日本会社線」のように書かれてはいるものの、今でも単に「会社線」「社線」と呼ぶ場合は、JR以外の路線をさして使われる場合が多い。 旧国鉄の特定地方交通線の転換または整備新幹線開業に際して経営分離された並行在来線の受け皿として、また日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の地方AB線(地方開発線・地方幹線)の経営主体として設立された第三セクターの鉄道事業者についても、地図記号では私鉄とされているなど、一般的には私鉄に含まれる。ただし、別途第三セクターとして別の区分をすることもある。これは、営業路線の歴史的区分によるものであり、例外もあるが、時刻表でもJR路線の関連ページに記載されていることが多い。ただし、同じ第三セクターの鉄道事業者でも、旧国鉄からの転換あるいは継承ではない鉄道会社、例えば、大都市圏の新交通システムやモノレール各社、臨海工業地帯の貨物鉄道(臨海鉄道)会社、大都市周辺の都市開発に伴う通勤新線を敷設するために設立された北総鉄道・北大阪急行電鉄・泉北高速鉄道などの鉄道会社、万葉線・えちぜん鉄道の元々の私鉄路線を引き継いだ鉄道会社などは、この区分によらず私鉄として扱われることが多い。 この他にも、国や都道府県・市町村が出資していて形式的には第三セクターだが、実際には民営とされる事業者も存在する。 京福電気鉄道 - 大株主に財務大臣が名を連ねていたことがあったが、これはかつての個人大株主が死去したことに伴い、相続税の物納として同社の株式が納められたことによるものであり、経営参加を目的としていなかった(2022年現在は株式を売却したため純民間資本に戻っている)。 富山地方鉄道 - 陸上交通事業調整法に基づいて富山県内の私営・公営の鉄軌道・バス事業者をすべて合併して発足しており、設立の経緯から富山県・富山市も出資している(2020年に別の第三セクター会社の富山ライトレールを合併した)。 島原鉄道 - 雲仙普賢岳の噴火災害からの復旧に当たって増資を募った際に長崎県や沿線自治体が引き受けた。 なお、JR及び旧国鉄線を引き継いだ第三セクター各社は青い森鉄道を除き、ほとんどの民営鉄道会社が加盟する社団法人日本民営鉄道協会に加盟していない。ただし入会は任意であり、旧国鉄線やJR線を引き継いだ鉄道会社も入会は可能である。 地図記号では国鉄線と私鉄線で区分されていたが、現在でも「JR」と「JR以外の鉄道」(第三セクター鉄道を含む)で分けられている。
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