ISS計画への参加の意義・目標と成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 04:28 UTC 版)
「きぼう」の記事における「ISS計画への参加の意義・目標と成果」の解説
1985年4月に発表された宇宙開発委員会宇宙基地計画特別部会報告「宇宙基地計画参加に関する基本構想」の中で、「きぼう」の開発を含む日本のISS計画への参加の意義・目標として「高度技術の習得」「次世代の科学や技術の促進と宇宙活動範囲の拡大」「国際協力への貢献」「宇宙環境利用の実用化の促進」の4つが示されている。 2014年5月にJAXAは、2013年までにISS計画への参加によって得られた成果について、「有人・無人宇宙技術の習得」「産業の振興」「宇宙実験からの成果の蓄積」「国際協力による外交上のプレゼンス向上への貢献」「青少年の育成」の5つを上げている。「有人・無人宇宙技術の習得」については、有人打ち上げを除く自律的に有人宇宙活動を行うための技術を獲得し、その技術を獲得するのにかかった期間と費用は2013年までに28年と約8,260億円で、世界水準の有人宇宙技術を最も効率的に短期間で得たとしている。「産業の振興」については、「きぼう」の開発・運用に約650社、「こうのとり(HTV)」の開発・運用に約400社の日本企業が関わっており、各企業の有人宇宙技術の習得や宇宙関連製品の海外受注に繋がるなど、宇宙産業基盤の維持向上成熟に貢献したとしている。「宇宙実験からの成果の蓄積」については、宇宙環境を利用して細胞培養、植物培養、水棲生物飼育、金属・半導体結晶成長、蛋白質結晶成長、流体物理計測、X線天文観測、大気観測、地球観測などの各種実験・観測を行い、その学術的成果として査読付き論文が約900件となっている(詳細はきぼうの成果を参照)。「国際協力による外交上のプレゼンス向上への貢献」については、アジア諸国(マレーシア・ベトナム等)による「きぼう」の利用を進め、国際会議の誘致や議長国を務めるなど宇宙常任理事国としての地位を確立したとしている。「青少年の育成」については、JAXA保有の有人宇宙関連の写真・映像の平成25年度申請件数は4,171件(全申請件数の約4割、その内宇宙飛行士関連が1,862件)で、教科書・図鑑・テレビ番組・プラネタリウム等で利用されており、日本人宇宙飛行士による日本の小中学生との交信イベントや講演活動などを通じて、科学技術人材の育成に貢献しているとしている。また、平成25年度のJAXA関連報道はテレビが約1,000件、新聞が約2,700件で、その内約5割は有人宇宙関連報道で更にその約8割は宇宙飛行士関連報道となっており、これらの報道により日本の有人宇宙開発が青少年を含む国民の耳目に触れる機会となり、科学技術に対する興味や関心を高める一助になっている。
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