きぼうの成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 04:28 UTC 版)
きぼうの本格的な運用が始まった2008年8月以降、生命科学、宇宙医学、技術開発、応用利用、物質科学、物理科学、宇宙物理学、人文科学、社会科学などの各分野の他、船外を利用した民生品の宇宙実証、地球観測、小型衛星放出など様々な成果が出ている。ISSで行われた日本の実験は1998年12月-2013年9月までに453件、きぼうを利用したミッションは設置後約5年間で約80件に上り、これらの実験により2013年8月までに「きぼう」に関連した査読付き論文は925件が発表されており、学位論文(博士論文、修士論文、学部卒業論文)は85件、それ以外の総説、査読なし論文、プロシーディングス等が697件となっている。また、「きぼう」利用研究者が国の競争的資金制度などの競争的資金を獲得した件数は2013年8月までに140件を超えている。 これらの一連の成果については宇宙航空研究開発機構(JAXA)ホームページ内の「宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター」にて発信されており、2014年までに得られた成果をまとめた「「きぼう」利用成果レポート2014 -宇宙で得られた成果-」と題する報告書も出されている。 また、国際宇宙ステーション(ISS)の参加国の内、日本(JAXA)、アメリカ(NASA)、カナダ(CSA)、欧州(ESA)、ロシア(Roscosmos)の5か国の宇宙機関は合同で、「きぼう」での成果も含むISSでの成果72事例を「国際宇宙ステーション 人類への恩恵(INTERNATIONAL SPACE STATION BENEFITS FOR HUMANITY)」と題する報告書にまとめている。 こういった状況の中で、日本が毎年負担している「きぼう」を含むISS関連経費約350億円-400億円の費用対効果に対する批判も出ている。これに対し、宇宙飛行士の油井亀美也は「成果は非常に上がっていると思っている」とした上で、「きぼう」での成果を国民に伝える広報の在り方を課題に挙げている。またISS関連経費の使途についても、直接NASAなどの海外の宇宙機関にお金を支払っているわけではなく、ISSの共通的なシステム運用経費分担(CSOC、MOU第9条3項)の分担方法(IGA第15条5項、MOU第9条5項)として、HTVでの物資輸送による現物提供を以て支払い、その対価として日本人宇宙飛行士をISSへ運んでもらう権利を得ており、このHTVの開発・製造・運用などで得られた宇宙開発技術の蓄積も成果の1つであるとしている。向井千秋宇宙飛行士も以前に同様の考えを示しており、きぼう・HTVの開発を通じて得た有人宇宙技術・人材の蓄積も成果であるとしている。 2020年8月12日(水) 午後7時45分に「きぼう」に設置されたスタジオと地球をつなぐ双方向ライブ配信実験「KIBO 宇宙放送局」を実施。
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