F-35C
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 06:07 UTC 版)
「F-35 (戦闘機)」の記事における「F-35C」の解説
F-35Cは、アメリカ海軍での使用を主とした通常離着陸型のCVタイプ(艦載型)。2010年6月8日初飛行。2019年2月に初期作戦能力を獲得した。 ウィキメディア・コモンズには、F-35Cに関連するカテゴリがあります。 F/A-18A-Dの後継機であり、艦載機に要求される低速時での揚力の増加と安定性の強化のため、主翼・垂直尾翼・水平尾翼が大型化されている。空母格納庫スペース節減のために主翼の外翼部に折り畳み機構が追加され、そこを境に内翼部はフラッペロン、外翼部は補助翼が装備されているほか、前縁フラップも分割されている。また、ニミッツ級/ジェラルド・R・フォード級原子力空母での発着艦時の運用のために、機体構造や降着装置の強化、前脚の二重車輪(ダブルタイヤ)化とカタパルト発進バーの装着、胴体後部下面に強度を増したA型と同様の収納式のアレスティングフックを装備している。 これらにより、機体重量はB型と同程度にまで増大しているが、主翼と尾翼の大型化および固定武装のオミットによって機体内部の余剰容積も拡張された。これにより、結果的に燃料タンクが増設された形になるため、最大で8,959kgの燃料を搭載できるように計画する予定であり、むしろ航続距離はA型よりも13〜14%ほど延伸されている。また、新機軸の着艦システムとして、オートスラスト機能が装備されている。着艦アプローチの際、現用のF/A-18E/Fのパイロットはフラップやエンジンパワーの制御も行う必要があるが、F-35Cではコントロール・スティックを操作するだけで着艦を行うことが可能になる。 当初、アレスティングフックが主脚に近すぎることやフックの設計上の問題で、適切なタイミングでアレスティング・ワイヤーを掛けることができない等の不具合が発生しており、導入予定であったイギリスが抗議するという事態になった。この不具合は、フックの位置を含め改善する再設計が施されて解消している。 2010年10月25日、イギリスはストラテジック・ディフェンス・アンド・セキュリティー・レビューにより、調達機をB型ではなくC型に切り替えると発表されたが、2012年に再度B型に変更しており、C型の使用が確定しているのはアメリカ軍のみとなった。 2012年に試験飛行を開始。2014年11月14日、空母「ニミッツ」で実施していたF-35C初めての艦上開発試験フェーズ1(DT-I)を無事終了した。続く試験フェーズ2(DT-II)は、2015年10月2日より、空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」で実施。試験フェーズ3(DT-III)は、2016年8月3日より、空母「ジョージ・ワシントン」で実施されており、デルタ・フライト・パスや高精度自動着陸技術を用いた統合精密アプローチ・着艦システム(JPALS)などの試験を様々な環境下で実施する。 2018年12月の米国会計検査院(英語版)(GAO)の議会証言によると、「アメリカ海軍はF-35Cを2019年に艦上運用開始予定だが、実際に艦上運用可能な機体は2017年度は15%(6機中1機)のみ。状況は2018年に入っても悪化したまま、2018年6月にもF-35Cの信頼性、整備性で改善の兆しが見られないと報告され、F-35Cは初期作戦能力(IOC)として必要な性能項目の半分で不満足な結果を出している」と証言された。 2019年2月28日、アメリカ海軍は「F-35Cは初期作戦能力(IOC)として必要な性能を獲得した」と発表した。
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