【AA-10】(え-え-じゅう)
現在ロシア軍で使用されている中距離空対空ミサイル。
NATOコードは、AA-10「アラモ(Alamo)」と呼ばれ、ロシアではR-27と呼ばれている。
中距離空対空ミサイルとして開発されたものの、搭載母機であるMiG-23のレーダー性能の限界もあって、AIM-7に遅れをとる結果に終わったR-23(NATOコードはAA-7「エイペックス(Apex)」)の代替として1972年から開発された。
当初はMiG-23に搭載する予定であったが、計画は遅れ、実用化されたのは1981年、就役したのは1983年からであった。
(そのため、代わりにR-23の終末誘導を赤外線誘導からセミアクティブレーダー誘導方式に変更した型であるR-24(NATOコードはR-23と同じ)が開発された。)
主な搭載母機は、MiG-29やMiG-31、Su-27といったソ連の第4世代戦闘機のほか、ソ連崩壊後に近代化改修を行い運用能力が付加されたMiG-21やMiG-23、MiG-25に搭載されている。
R-27(AA-10)の主なバリエーション
- R-27R:セミアクティブレーダー誘導型。
- R-27T:赤外線誘導型。
- R-27R1:R-27Rのダウングレード輸出型。
- R-27T1:R-27Tのダウングレード輸出型。
- R-27RE:R-27Rの距離強化型。
- R-27TE:R-27Tの距離強化型。
- R-27AE:アクティブレーダー誘導型。
- R-27EM:セミアクティブレーダー誘導シーカーが改良された海軍型。
- R-27P:パッシブレーダー誘導型。AWACSやレーダーサイト等の攻撃用。
スペックデータ
R-27R
全長:4m
翼幅:77cm
直径:23cm
発射重量:253kg
機関:高性能指向固体推進ロケットモーター
射程:50km
速度:マッハ4
弾頭:HE 爆風破砕弾頭(弾頭重量37kg)又はHEコンティニュアス・ロッド(弾頭重量39kg)
誘導方式:慣性誘導/セミアクティブレーダー誘導
信管:レーダー近接/接触
R-27T
全長:3.70m
直径:23cm
翼幅:77cm
発射重量:254kg
射程:40km
速度:マッハ4
推進装置:固体燃料ロケットモーター
誘導方式:慣性誘導/赤外線誘導
R-27ET
全長:4.50m
直径:26cm
翼幅:80cm
発射重量:343kg
射程:70km
速度:マッハ4
誘導方式:慣性誘導/赤外線誘導
R-27ER
全長:4.70m
直径:26cm
翼幅:80cm
発射重量:350kg
射程:75km
速度:マッハ4
誘導方式:慣性誘導/セミアクティブレーダー誘導
R-27AE
全長:4.78m
直径:26cm
翼幅:80cm
発射重量:350kg
射程:80km
速度:マッハ4
誘導方式:慣性誘導/アクティブレーダー誘導
R-27EM
全長:4.78m
直径:26cm
翼幅:80cm
発射重量:350kg
射程:110km
速度:マッハ4
誘導方式:慣性誘導/セミアクティブレーダー誘導
関連 Su-27 MiG-21 MiG-23 MiG-25 MiG-29 MiG-31
R-27 (ミサイル)
R-27/Р-27
R-27(ロシア語:Р-27エール・ドヴァーッツァチ・スィェーミ)は、ソ連の機械設計局 ヴィーンペルで開発された中距離空対空ミサイルである。北大西洋条約機構(NATO)の用いたNATOコードネームではAA-10 アラモ(Alamo)と呼ばれた。
概要
R-23の代替ミサイルとして、アメリカ合衆国のAIM-7F スパローに対抗するために開発された。当初はMiG-23MLでの実用化が望まれたが、計画は大幅に遅れ、かわりにR-23の改良型のR-24が開発された。R-24は、1981年に実用化された。
これに続き、R-27は1980年代中期に就役を始め、主にソ連の第4世代戦闘機にあたるMiG-29やMiG-31、Su-27に装備された。MiG-23MLDなどにも搭載されたという情報もあるが、現在では誤報であると考えられている。
ソビエト連邦の崩壊後、独立したロシア連邦では各種軍用機にR-27の運用能力を持たせる近代化改修案を提示しており、その結果改修を受けたMiG-21、MiG-23、MiG-25のような戦闘機でも運用が可能となっている。いくつかのバリエーションがあり、R-27RはアメリカのAIM-7M スパローに匹敵する性能を有すると考えられている。
戦歴
エチオピア・エリトリア国境紛争において両軍の戦闘機(MiG-29とSu-27)による空中戦が発生し、双方がR-27を発射したが命中しなかったとされる。
派生型
- R-27R1
- セミアクティブ・レーダー誘導型。
- R-27T1
- 赤外線誘導型。
- R-27ET1
- R-27T1の距離強化型。
採用国
アルメニア - 2024年時点で、アルメニア空軍がR-27Rを保有[2]。
アルジェリア
バングラデシュ
ベラルーシ
ブルガリア
中華人民共和国
キューバ
エチオピア
ハンガリー
インド - 2024年時点で、インド空軍が保有[3]。
インドネシア
イラン
カザフスタン - 2023年時点で、カザフスタン防空軍がR-27T、R-27R、R-27ERを保有[4]。
マレーシア
北朝鮮
ペルー
ポーランド
ロシア
セルビア
スロバキア
シリア
ウクライナ
ウズベキスタン - 2023年時点で、ウズベキスタン空軍および防空軍がセミアクティブレーダー誘導型と赤外線誘導型を保有[5]。
ベネズエラ
ベトナム
退役国
仕様
R-27R1

出典:en:Vympel R-27[出典無効]
- 全長:4.08m
- 翼幅:0.772m
- 直径:230mm
- 発射重量:253kg
- 機関:高性能指向ロケット・モーター
- 射程:50km
- 速度:M4
- 弾頭:爆風破砕弾頭またはコンティニュアス・ロッド(39kg)
- 誘導方式:セミアクティブ・レーダー誘導
- 信管:レーダー近接信管/接触信管
R-27ER1
出典:Missile.index[1]
- 全長:4.70m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:350kg
- 射程:75km
- 速度:M4
R-27T1

出典:Missile.index[1]
- 全長:3.70m
- 直径:23cm
- 翼幅:77cm
- 発射重量:254kg
- 射程:40km
- 速度:M4
- 目標探索装置:9B-1101K
R-27ET1
出典:Missile.index[1]
- 全長:4.50m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:343kg
- 射程:70km
- 速度:M4
R-27AE
出典:Missile.index[1]
- 全長:4.78m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:350kg
- 射程:80km
- 速度:M4
- 目標探索装置:9B-1103M
R-27EM
出典:Missile.index[1]
- 全長:4.78m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:350kg
- 射程:110km
- 速度:M4
脚注
- ^ a b c d e f g Missile.index R-27
- ^ IISS 2024, p. 179.
- ^ IISS 2024, pp. 269–270.
- ^ * The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 179-180. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 206. ISBN 978-1-032-50895-5
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7
外部リンク
- AA-10のページへのリンク