3100形への改造
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「広島電鉄2500形電車」の記事における「3100形への改造」の解説
竣功当時の3100形3101編成(広電宮島駅 1986年5月) 3車体連接編成化は1985年(昭和60年)から翌1986年(昭和61年)にかけて大阪車輌工業において施工され、改造後は3100形と改称・改番された。車番は西日本鉄道から譲り受けた1300形電車より採用された、1編成全車を同一の車番とし、車番末尾にA・B(先頭車)およびC(中間車)の記号を付与して区分する方式に改められた。 車番種車竣功年月3100形3101A-3101C-3101B 2501・2502・2505 1985年12月 3102A-3102C-3102B 2503・2507・2504 1986年7月 3103A-3103C-3103B 2509・2508・2510 1986年12月 2505-2506・2507-2508の2編成4両を編成解除し、その他の3編成へ繋げる形で3車体連接編成化を実施、中間車となる2502・2507・2508は運転台部分の構体を切断して撤去、3101C・3102C・3103Cとなった。 先頭車を中間車へ転用する手法は3000形において実施されたものと同様であるが、2500形の心皿位置は前位扉が引扉である関係上3000形よりも若干中央寄りに位置しており、3000形の前例に倣って心皿位置で構体を切断すると車体長が短くなり過ぎることから、前位扉の戸袋窓を境界線として構体を切断、心皿位置を切断部分へ移設した。窓配置は先頭車として運用されていた当時の左右非対称構造をそのまま継承したため、左右対称構造を採用する他の3車体連接編成の中間車とは異なり、側面左右で3(1)D1および2(1)D2と客用扉の位置が側窓1枚分ずれが生じている点を特徴とする。その他、屋根上のパンタグラフおよび台座を撤去し、従来車掌窓であった部分を通常の側窓へ置き換え、側面行先表示器も撤去された。 両先頭車については従来の行先表示器を痕跡を残さず撤去し、前面幕板中央部へ大型の電動行先表示器が新設された。その他、従来の前照灯を撤去してシールドビーム式の前照灯を腰板部へ新設し、制動動作灯を兼ねた後部標識灯と一体型のケースに収めたほか、各車掌窓上への電動式側面行先表示器の新設、前面中央窓の固定化、ワイパーの電動化および窓下移設・ウィンドウウォッシャーの新設などが施工された。 主要機器は基本的に改造以前と比較して変化はないが、主電動機出力の都合から従来主電動機を搭載しない付随台車であった中間連接台車にも主電動機を各1基新たに搭載、1編成当たり6基搭載とした。制御装置はES-255Bを一部改造した上で両先頭車へ搭載、一方の制御装置で両端台車に搭載された主電動機4基を制御し、他方の制御装置で中間連接台車に新たに搭載された主電動機2基を制御する変則的な繋ぎとした。力行時は6基全ての主電動機を使用するものの、発電制動動作時は両端台車に搭載された4基の主電動機のみを使用する。 また、併せて冷房改造も実施され、先頭車に三菱電機CU77A(冷却能力21,000kcai/h)を、中間車に同CU127A(冷却能力10,500kcal/h)を各1基、屋根上に新設した。両先頭車の屋根上には冷房装置用電源として静止形インバータ (SIV) が新設され、これらの搭載スペースを確保するためパンタグラフの搭載位置を前位寄りへ移設し、パンタグラフそのものも新造品へ交換されたほか、台座を従来のパイプ組立形から屋根上専有面積の小さいアングル材組立形に変更した。 車内の仕様は3000形に準じたものとなり、座席モケットは臙脂色のものを採用、床面はロンリューム貼りで仕様が統一された。 車体塗装は全編成とも改造以前の薄いピンク地に赤の細帯を配した塗装から変化はないが、新設された前照灯ケースとの位置関係から前面の赤帯は省略された。また、先頭車・中間車とも蛍光灯照明式広告装置は撤去された。 改造第一号となる3101編成(元2501・2502・2505)が1985年(昭和60年)12月28日付で竣功したことを皮切りに、翌1986年(昭和61年)7月19日付で3102編成(元2503・2507・2504)が、同年12月24日付で3103編成(元2509・2508・2510)がそれぞれ竣功し、全編成が出揃った。なお、3102・3103編成の両先頭車は前面中央窓の固定化に際して窓枠部分を新製したため、改造以前の原形を保つ3101編成の両先頭車とは形状が異なる。 この結果、編成組み換えに伴って余剰となった2506、および改造対象から外れた車体流用車グループの2511-2512の計3両は1985年(昭和60年)12月31日付で除籍され、3103編成の竣功をもって2500形は形式消滅した。
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