1989年の憲法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/14 21:34 UTC 版)
「ハンガリー共和国憲法」の記事における「1989年の憲法」の解説
1989年の民主化とともに憲法の根本的な大改正も行われ、ハンガリーの政体も近代的民主主義に変わった。無論、真新しい憲法を制定するアイディアも出たが、当時の現行法では国民投票が必要とされ、駐留していたソ連軍の影響で失敗する可能性があった。 円卓会議に参加した野党勢力はこの課題を新しく選出される国民議会に任せ、立憲国を創るに必要な最低限の改正しか施さない協定をハンガリー社会主義労働者党と結んだ。しかし実際には、その改正により新しい憲法が生まれた。それにもかかわらず、新憲法の法令番号は1949年の第二十号のままであった。 憲法の改正は1989年10月23日に有効になり、市場経済へ平和的に移行するため、複数政党制・議会制民主主義を成立させた。 1989年の憲法改正の主な特徴 直接選挙の導入。 民主主義を導入し、政権は国民によって選出された議員が有する。 立憲国の旗の下に権力分立と均衡が保障された。 人権が保障された(信教、表現、集会・結社、報道の自由)。 一党独裁制が廃止され、複数政党制を宣言した(党が国民議会に入れる事、直接公権力を用いられない事、裁判官、検事、憲法裁判官、党の会員は警察および軍の正規メンバーにならない事、党は職場で結社出来ない事)。 市場経済の導入。 所有権の平等性を導入し、公共財産の優先の廃止、私有財産と公共財産を保障し、強制収用は速やかな弁償の上で公益の為のみ許される。 立法機関は国民会議である、また政府の監督権も有すると宣言された。 立法、執行両方の権力に影響力を持つ大統領制度の導入。 国内法より国際法の優先を宣言した。 憲法裁判所の設立。 オンブズマン制度の導入(行政監察官)。 これらの改正に続き1990年に以下の修正が加えられた。 大臣は首相の推薦のもと、大統領が任命する。 大統領は国民議会が5年ごとに任命する。 首相に対する不信任制度が導入された。 ハンガリー共和国の国章は冠紋章と宣言された。 議員は免責特権が与えられた。 自治体制度は再導入され、地方会議員と市長が選出されるようになった。 憲法は、立法または法律の改正の際に投票数が全議員または出席議員の三分の二が必要とされる案件を明記する。憲法の冒頭では本憲法は新憲法が造られるまで有効であると書かれた。しかしこの二十年間のあいだ国民議会は新たな憲法を作ることができなかった。
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