17世紀のスペイン裸婦画とは? わかりやすく解説

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17世紀のスペイン裸婦画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 06:45 UTC 版)

鏡のヴィーナス」の記事における「17世紀のスペイン裸婦画」の解説

17世紀スペインでは裸婦画は公式に禁じられていた。裸婦画は異端審問所によって没収塗りつぶされわいせつ不道徳な絵を描いたみなされ画家破門されるか、罰金あるいは一年間スペイン追放といった処罰受けたしかしながら知識階級貴族階級層では芸術の追求道徳問題とらわれるものではないと考えられ、プライベート・コレクションには主に神話題材にした多く裸婦画が存在していた。芸術愛しベラスケスパトロンでもあったスペイン王フェリペ4世ティツィアーノルーベンス描いた裸婦像を多く所有しており、ベラスケスフェリペ4世お気に入り画家として、裸婦画を描くことを問題視する必要はなかった。当時主要な絵画コレクターは、自身個室神話主題とした裸婦画を飾っており、フェリペ4世場合は「国王陛下食後くつろぐ部屋」に、先々代スペイン王フェリペ2世から受け継いだティツィアーノの『ポエジア (poesies)』や、王自らルーベンスに描かせた裸婦画があった。『鏡のヴィーナス』スペインにあった当時このような部屋飾られていたのかも知れない芸術愛したフェリペ4世の宮廷では「絵画多く人々歓迎され裸婦画は特定の限られた人々歓迎された。しかし同時に裸婦画を描かないように画家たちは非常に大きな圧力かけられた」 裸婦画に対す当時スペイン姿勢は、他のヨーロッパ諸国比べて独特のものだった裸婦画はスペイン国内の鑑定家知識階級たちに評価されていたが、懐疑的に見られることが多かった胸元見せる低いネックラインの服が当時女性の間で着用されていたが、美術史家のザイーラ・ヴェリス は「著名な女性このように胸元あらわにした姿は、礼節上絵描かれることは難しいだろう」と述べている。17世紀スペインにおいて芸術における裸体は、道徳権力芸術観などに束縛されていた。このような傾向スペイン黄金世紀文学にも影響しており、スペイン人劇作家ロペ・デ・ベガ戯曲である『La quinta de Florencia』では、神話題材にしたミケランジェロ描いた半裸人物の絵を見て女性暴行する貴族登場する対照的に当時フランスでは胸元があらわで、細いコルセットを身につけた女性絵画がしばしば描かれた。しかしながらフランス王室による、裸婦描かれレオナルド・ダ・ヴィンチ有名なレダと白鳥』やミケランジェロ作品破棄コレッジョ作品対す裸婦部分切断など、フランスで裸婦画が論争の的になっていたことは明らかである。北欧では巧みに布で肌を隠した裸婦像は認められていた。胸があらわに描かれルーベンスの『ミネルヴァ扮しマリー・ド・メディシスMinerva Victrix, 1622年 - 1625年)』や、ヴァン・ダイクの『ヴィーナスとアドニス扮しバッキンガム公爵夫妻(The Duke and Duchess of Buckingham as Venus and Adonis, 1620年)』などがある。 17世紀スペイン美術では、神話上のシビュラ (en:sibyls)、ニンフ女神などの描写であっても女性身体は完全に隠された。1630年代から1640年代には風俗画肖像画歴史画からも胸をあらわにした女性はもちろん、腕を露出した女性すらも全くといえるほど描かれていない1997年美術史家のピーター・チェリーは、ベラスケスがこういった当時風潮克服しようとして、背中を向けたヴィーナス描いたではないか推測している。18世紀半ばになっても、アルバ公爵コレクション加えられ裸体ヴィーナス描いたイギリス人画家自ら「題材問題があるため壁に掛けてならない」としている。

※この「17世紀のスペイン裸婦画」の解説は、「鏡のヴィーナス」の解説の一部です。
「17世紀のスペイン裸婦画」を含む「鏡のヴィーナス」の記事については、「鏡のヴィーナス」の概要を参照ください。

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