高野紙とは? わかりやすく解説

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こうや‐がみ〔カウヤ‐〕【高野紙】

読み方:こうやがみ

高野山付近から産出する紙。高野版障子・傘などに用いられた。


高野紙(こうやがみ)

所在地 和歌山県伊都郡九度山町
主製品 傘紙
高野紙 高野紙
高野紙の起源について二つ説話残されています。一つは、伊都郡かつらぎ町新城に「(かご)の丹生明神丹生都比売にゅうずひめ))の祭祀(さいし)が、栽培と利用教えた」というものです。この貴志川辺りにあってかつては半紙や島包紙の漉かれた里でした。もう一つは、弘法大師が古佐布荘(九度山町古沢)で「紙の製法教えた」というものです。

高野紙は鎌倉時代刊行始まった高野版典籍使用されたことで、大きく飛躍しました。江戸中期高野版京都大坂出版されるようになり、衰退の道をたどりはじめます。しかし、「生漉き(きずき)にして蝕すると無く入れて破れず墨附はあしけれども力強し」とうたわれた高野紙は、傘紙障子紙として紀伊藩特産品として大坂市場をにぎわしました。現在 1戸がその伝統を守ってます。

高野紙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 00:32 UTC 版)

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高野紙(こうやがみ)は紀州高野紙あるいは古沢紙とも呼ばれる。和歌山県九度山町高野町で古くから作られていた和紙で、高野紙十郷と呼ばれる村でしか生産されていなかったといわれる。高野十郷は、現在の九度山町笠木、上古沢、中古沢、下古沢、椎出、河根、東郷の七村と高野町西郷、西細川、東細川の三村で[1]南海高野線沿線あるいは不動谷川流域地域にあたる。地域ごとに古沢紙、細川紙、河根紙といった細分呼称もあり[2]、サイズ等若干の相違も見られるが、総称として高野紙または紀州高野紙と呼ぶ。一時は職人がほとんどいなくなり存続さえも危ぶまれたが、一人の女性が受け継いでいる。[3] 

歴史

高野紙の起源については二つの説話が残されている。一つは、伊都郡かつらぎ町新城に「楮(かご)の森丹生明神(丹生都比売(にゅうずひめ))の祭祀(さいし)が、楮の栽培と利用を教えた」というもの。もう一つは弘法大師が古佐布荘(九度山町古沢)で「紙の製法を教えた」というものである。[4] 鎌倉時代初期には、高野山の経典の印刷用紙や経巻の書写用紙に使用。活字印刷が進んだ明治時代以降になると、紙の目が粗いため出版用紙に使われなくなったが、丈夫な厚紙なので、紙、障子紙、合羽、紙袋、提灯などに使用された。[1]

埼玉県比企郡小川町で生産される細川紙は、高野山で修行した僧が細川というところで技術を習得し、故郷に伝えたと伝承され、道具、製法がきわめてよく似ている。2014年には細川紙がユネスコ無形文化遺産に登録されている。

高野紙にまつわる文化

作業唄として紙漉き唄が九度山町に伝わる。[5]

古澤厳島神社等で和紙づくりの繁栄を祈念する祭事「えびすのお渡り」等が伝わっている[6]

高野紙の生産工程

楮(こうぞ)の採取

2~3年生のの葉の落ちたものから刈り取る。長さ1~1.2mにそろえて日陰に置き、乾燥しすぎないように保管する。

蒸す

使う前に1晩水に浸け柔らかくする。大きな窯に水をいれ、その中に楮をたて、上から楮蒸し桶をかぶせて2~3時間蒸す。

皮むき

ふかし終えた楮は温かいうちに皮をむく。外皮の黒皮と緑色のあま皮を小刀で削り、白皮にする。

煮る

皮むきした白皮を川に運び浸ける。大釜に水と煮熟剤としてソーダ灰(大正時代以前は木灰)を入れて煮沸させる。沸騰したら楮の皮をいれ、全体が煮えたら(1時間程度)止める。煮た楮の皮は灰汁をしぼる。

叩き解す

煮た楮を充分に水切りし、棒で打ち続ける。強く打ってむやみに叩き切るのではなく、繊維の束をほぐすように打つ。

漉く

水を張った漉き舟に叩き解した楮を入れ、トロロアオイの粘液を加えてさらにかき混ぜる。紙と桁を使って3回ほどすくい取る。漉き簀に竹ではなく(茅)を用いるのは他に類のない高野紙の特徴。(茅)は山上の標高が高いところで採れる細くて節の長いススキで、1つの漉き簀に使うのは150本程度。[7]

干す

干し板に刷毛を使わず、紙の縁を指先で擦って押さえる。天日で乾燥させる。

紀州高野紙伝承体験資料館紙遊苑

紀州高野紙伝承体験資料館が九度山町「勝利寺」の境内にある。先代の住職の住居で、天皇・上皇の高野山参詣の宿泊所にもなっていた建物で、改修の後、1999年に「紙遊苑」として開館し、高野紙の紙漉き体験ができる。

南海高野線九度山駅から徒歩約30分(約1.5km)、またはJR西日本和歌山線高野口駅から徒歩約40分(約3.0km)。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 空海伝説の和紙・高野紙”. 2020年1月11日閲覧。
  2. ^ 高野山(和歌山県)「和紙の会」レポート”. 2020年1月17日閲覧。
  3. ^ 世界遺産「和紙」のルーツは高野山にあり”. 2020年1月11日閲覧。
  4. ^ 高野紙(こうやがみ)”. 2020年1月11日閲覧。
  5. ^ 和歌山県の民謡”. 2022年6月26日閲覧。
  6. ^ 和歌山放送ニュース”. 2020年1月17日閲覧。
  7. ^ 高野細川紙金封”. 2022年6月25日閲覧。

関連項目



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