電動機の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 08:37 UTC 版)
回転する電動機は、軸を持ち回転する回転子(ロータ: Rotor)と、回転子と相互作用して回転モーメントを発生させる固定子(ステータ: Stator)、回転子の回転を外部に伝える回転軸、回転軸を支える軸受、損失により発生した熱を冷却する冷却装置などから構成される。 回転子と固定子の磁界を発生させる部分を界磁という。ローターを囲むように配置した電磁石や磁界を導く強磁性体の鉄心に電線を巻いたものや永久磁石が用いられる。 整流子電動機 (Brush Motor)や同期電動機で、界磁と相互作用させトルクを得るための磁界を発生させるものを電機子という。電線に電流が流れると、界磁の磁界によりローレンツ力がはたらきローターを回転させる。 負荷機器と接続するカップリング・回転数を下げて目的のトルクを得るための減速機などが付属装置として接続される。 整流子電動機は、整流子とブラシによって電機子に流れる電流をきりかえ回転方向を保つことで連続的使用を可能にしている。 回転子 固定子の磁界と回転子内の電流によって力が加わり軸が回転する。ローターに永久磁石を入れ、ステーターに導線を持たせるものもある。ステーターとローターの間には、回転するための隙間(ギャップ)が必要である。ギャップ幅はモーターの電気的特性に大きく影響し、モーターの力率が低くなる主原因となっている。ギャップが大きいと磁化電流が増加し、力率が低下するため、ギャップは狭い方が良いが小さいすぎると、騒音や損失、機械的な問題が発生する場合がある。 固定子 モーターの電磁回路のうちローターを囲む固定部分。強磁性体の鉄心に線を巻いた電磁石や永久磁石であるフィールドマグネットで構成される。磁界が電機子を通過して巻線に力を発生させる。ステーターコアは、互いに絶縁された多数の薄い金属板を積層させたラミネーションと呼ばれる構成されている。積層させているのは、ソリッドコアを使用した場合に生じるエネルギー損失を低減するためである。洗濯機やエアコンなどに使われている「樹脂積層型モーター」は、ステーターを樹脂で完全に包んでおり、樹脂の減衰特性を利用して騒音や振動を低減している。 コイル 積層された軟鉄製の磁性体コアに、電流を流したときに磁極を形成するように巻いた線のことである。 直列磁極型では、回転子と固定子の強磁性体コアに磁極と呼ばれる突起が向き合っており、磁極面の下には電線が巻かれていて、電線に電流が流れると磁界の北極または南極になるようになっている。一方、非平行磁極型(分布磁界型)では、強磁性体のコアには磁極がなく、滑らかな円筒形で、巻線が円周上にスロット状に均等に配置されている。巻き線に流れる交流電流によってコアに磁極が形成され、連続的に回転する。隈取磁極型誘導電動機は磁極の一部に巻き線があり、その磁極の磁場の位相を遅らせる。 モーター内部には棒状や板状の金属(通常は銅やアルミニウム)など、厚みのある金属で構成された導体を入れ、電磁誘導によって駆動させる。 整流子 回転子に電流を供給する回転式電気スイッチのこと。電機子の上に、複数の金属接点で構成された円筒を設置している。カーボンなどの柔らかい2つ以上の導電性「ブラシ」と呼ばれる電気接点が整流子に押し付けられ、回転しながら整流子の連続したセグメントと摺動接触し、回転子に電流を供給する。回転子の巻線は整流子のセグメントに接続されている。コミュテータは半回転(180°)ごとにローターの巻線に流れる電流の方向を周期的に反転させ、ステーターの磁界がローターに与えるトルクが常に同じ方向になるようにしている。この電流の反転がないと、ローターの各巻線にかかるトルクの方向が半回転ごとに反転してしまい、ローターが停止してしまう。整流子は効率が悪く、整流子付きモーターはほとんどがブラシレス直流モーター、永久磁石モーター、誘導モーターに取って代わられている。
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