雪女
『雪おんな』(小泉八雲『怪談』) 木こりの茂作と巳之吉が吹雪におそわれ、河の渡し守りの小屋に難を避けて眠る。巳之吉が寒さで目ざめると、茂作は冷たくなっており、白い女が巳之吉に「お前は若いから助けてやる。今夜見たことは誰にも話すな」という。後、巳之吉は知らずしてその女と夫婦になる。
『雪女房』(昔話) 冬の朝、男が軒のしがま(=つらら)を見て、「あんな細くてきれいな嫁が欲しい」と呟く。その夜、美しい娘が訪れ、男は娘を嫁にする。嫁は入浴をいやがるが、男が無理に風呂に入れると、櫛と簪を残して嫁は消え失せた(青森県南津軽郡。*『百物語』(杉浦日向子)其ノ29に類話)。
『雪むすめ』(ロシアの昔話) おじいさんとおばあさんが、庭の雪を丸めて雪むすめを作る。雪むすめは歩き出し、見る見る成長して、美しい女の子になる。春が来て夏が来るが、雪むすめは外で遊びたがらない。夏の夜、近所の少女たちが、焚火の上を跳び越える遊びをして、雪むすめを誘う。雪むすめはためらいながらも、思いきって火の上を跳ぶ。白い湯気が立ち昇り、雪むすめは消えてしまった。
★3.抱くだけで消えてしまう雪女もいる。
『雪の女』(星新一『マイ国家』) 冬の山小屋にこもる男のもとを、雪女が訪れる。雪女は「私の身体は春に気化して霧状となり、冬に凝結してもとに戻る」と説明する。男の勧めるワインを飲み、雪女は暑がって裸になる。しかし男が抱こうとすると、雪女は消えてしまった。それから毎晩、雪女は来る。男が抱くと、雪女は消える。男は「自分が狂うのと春になるのと、どっちが先か?」と考える。
★4.雪女と話をすると殺される。
雪女(水木しげる『図説日本妖怪大全』) 夜、吹雪の山道を猟師の父子が歩いていると、前方から人が来る。父は「向こうから人が来るが、けっして言葉を交わしてはならんぞ」と子供に言う。その人は赤い縞模様の着物を着た、顔の白い女で、じっと2人を見つめていたが、やがて足早にすれ違い、吹雪の中に消えた。父は「あれは雪女で、言葉を交わすと食い殺されるのだ」と子供に教えた。
★5.雪女郎を見ると死ぬ。
雪女郎の話(今野圓輔『日本怪談集妖怪篇』下) 新潟地方の雪山で、大学のスキー合宿があった時のこと。夜の練習の後、ベテランのFさんが1人で滑っていて、雪女郎に出会った。ものすごい美人で、天女のごとくフワフワ歩き、Fさんを見てにっこり笑う。雪の上には、まったく足跡がつかない。Fさんはゾッとして山小屋へ逃げ帰った。「雪女郎を見ると1年以内に死ぬ」と言われるが、Fさんもそれから1年後にぽっくりと死んだ。
『雪』(能) 諸国一見の僧が摂津国野田の里に来かかると、にわかに空が曇り、雪が降ってくる。雪の中から女が現れたので、僧は「雪の精か?」と問いかける。女は「自分の姿すらわからずに迷っている者です。仏法の力で私を成仏させて下さい」と請う。月下に袖を翻して、女は舞う。やがて朝になり、女はどこへともなく姿を消す。
『帰ッテキタせぇるすまん』(藤子不二雄A)「日光雪女」 29歳のまことと、44歳の冬子のカップルが、冬の日光を訪れる。喪黒福造が「男は金目当てだ」と見抜いて、冬子のリュックサックの現金800万円をバラまく。まことは「おれの金だぞーっ!」と叫んで、吹雪に舞い散る紙幣を追う。喪黒は冬子に、「あなたは愛もお金も失ったのです。あなたの行く道は1つしかありません」と告げる。冬子は雪女と化し、「まことさーん! こっちへおいでー!」と、彼を異世界へ誘う。
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