階級・官職名の沿革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 22:57 UTC 版)
下記の一覧表は海上保安官等の階級名称を基に、過去から現在までの組織の移り変わりや階級の比定を表した。組織長の欄は正式な階級名ではなく官職名であるが、便宜上英訳では階級風の呼び名が使われている。軍制の階級との比較を行なっているが、表外の注釈に示すとおり軍事組織との階級比定を試みたものではない。海上保安庁の広報などでも階級表記は殆ど用いられず、職員の職務・職責を表す船長、航海士、通信士、専門員などが用いられる。 海上保安官等の階級・官職名変遷区分海上警備隊旧海上保安庁保安庁海上公安局海上保安庁海上保安庁での各官職・階級の英語表記海上保安庁での職務組織長 (旧)海上保安庁長官 海上公安局長 海上保安庁長官 Commandant 行政組織(庁)の長海上保安庁職員の最上位 総監副総監 次長 警備救難監 次長 次長海上保安監 Vice CommandantVice Commandant for Operations 長官補佐(庁次席)長官補佐(運用上の指揮官) 士官 将官 海上警備監(海将) --- 海上公安監 一等海上保安監(甲) Coast Guard Superintendent First Grade Upper Half 本庁部長・管区本部長 海上警備監補(海将補) 一等海上保安監 海上公安監補 一等海上保安監(乙) Coast Guard Superintentent First Grade Lower Half 本庁参事官・管区本部次長・大阪海上保安監部長・大規模海上保安部長 佐官 一等海上警備正(1佐) 二等海上保安監 一等海上公安正 二等海上保安監 Coast Guard Superintendent Second grade 本庁課長・管区本部部長海上保安部長・所長・基地長・港長巡視船船長・管区本部課長署長・PL型(航海・運用司令・通信)長本庁係長・首席(航海・運用司令・通信)士PM型(航海・運用司令・通信)長・PS型船長本庁専門員・主任(航海・運用司令・通信)士本庁係員・巡視艇船長海上保安大学校本科卒業生は幹部要員 二等海上警備正(2佐) 三等海上保安監 二等海上公安正 三等海上保安監 Coast Guard Superintendent Third Grade 三等海上警備正(3佐) 一等海上保安正 三等海上公安正 一等海上保安正 Coast Guard Officer First Grade 尉官 一等海上警備士(1尉) 二等海上保安正 一等海上公安士 二等海上保安正 Coast Guard Officer Second Grade 二等海上警備士(2尉) 三等海上保安正 二等海上公安士 三等海上保安正 Coast Guard Officer Third Grade 三等海上警備士(3尉) --- 三等海上公安士 ↓階級調整→ 准士官 (准海尉) --- ↑階級調整→ 係員・(航海・運用指令・通信)士補海上保安官の階級:一等以上が司法警察員二等以下が司法巡査三等は初任階級の場合門司分校研修生 下士官 (海曹長) 一等海上警備士補(1曹) 一等海上保安士 一等海上公安士補 一等海上保安士 Junior Coast Guard Officer First Grade 二等海上警備士補(2曹) 二等海上保安士 二等海上公安士補 二等海上保安士 Junior Coast Guard Officer Second Grade 三等海上警備士補(3曹) 三等海上保安士 三等海上公安士補 三等海上保安士 Junior Coast Guard Officer Third Grade 兵員 海上警備員長(海士長) 一等海上保安士補 海上公安員長 一等海上保安士補 Assistant Coast Guard Officer First Grade (平成2年以降補職者なし)海上保安官補の階級:階級章などは金色製 一等海上警備員(1士) 二等海上保安士補 一等海上公安員 二等海上保安士補 Assistant Coast Guard Officer Second Grade 二等海上警備員(2士) 三等海上保安士補 二等海上公安員 三等海上保安士補 Assistant Coast Guard Officer Third Grade 三等海上警備員 三等海上公安員 その他 船舶職員学生 一般乗組員は銀色製海上保安大学校・学校生の階級章・海上保安大学校生は金色・海上保安学校生は銀色 上記の表は1952年(昭和27年)4月に創設された海上警備隊(沿岸警備隊)の成り立ちから、区分に対応して海上警備隊の階級に括弧で海上自衛官の階級を付加して軍隊の様式にしているが、海上保安庁の階級制は船員の船舶内での職務分担からきている階級制度のため、軍制の職責や職務内容などにも対応しておらず、軍制の階級との比定はあまり意味を持たない。また、海上保安庁長官・次長・海上保安監は法令上階級ではなく役職名であるが、独自の階級章があり、事実上階級に準じた扱いを受けるため、便宜上ここに記す。正式な最高位の階級は一等海上保安監であり、その職責は「甲」、「乙」と有り、両者に独自の階級章が設定されている。これらの階級以上は船舶へ乗り込んで指揮を執ることは殆ど無い。船員制度との比較の例としては、PM型巡視船の航海科では船長(三等海上保安監)、航海長(一等海上保安正)、首席航海士(二等海上保安正)、主任航海士(三等海上保安正)、航海士(一等海上保安士)、航海士補(一等海上保安士 - 三等海上保安士)と船員の序列に従い、階級が割り振られている。他の機関科、通信科、主計科なども同様である。 旧海上保安庁長官は、運輸省外局の長として海上警備隊の隊員と海上保安庁の職員を統括した。また、海上公安局法が公布された時点の保安庁長官も同様に警備隊を管轄すると共に、海上公安局も管轄して海上公安官の階級は、警備隊の階級と合わせる形で変更になった。これにより従来の海上保安庁とは違う組織になり、現在の海上自衛隊に近い軍制の階級になったが、海上保安庁の強い抵抗などにより改編されず、階級制度も旧来のものが現存する形になっている。 海上保安庁の創設時期は、日本国との平和条約(1952年4月「昭和27年条約第5号」)が締結される前であり、そのため海上保安庁法(昭和23年法律第28号)には、組織や職員(乗組員)を海上での主権行使の機関や要員として想定しておらず、各自衛隊を管轄する防衛省設置法に記載されるような主権行使の条文などもなく、海上保安庁法第25条の『職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを…』と軍事否定の条文も付加されている。
※この「階級・官職名の沿革」の解説は、「海上保安官」の解説の一部です。
「階級・官職名の沿革」を含む「海上保安官」の記事については、「海上保安官」の概要を参照ください。
- 階級官職名の沿革のページへのリンク