関係の悪化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:44 UTC 版)
「藤沢市母娘ら5人殺害事件」の記事における「関係の悪化」の解説
一方でFは、Aから避けられるようになったことを察知していたが、「電話では埒が明かない」と考え、再びA宅を訪れてAに「12月のデートで貸した金を返済しろ」と迫った。しかしこの時はAから「返す金なんかない。帰れ」と突き放されたため、Aの下校を待ち伏せて校門前・通学路でAに声を掛けようとしたが、Aは担任教師から助言を受け、数人の同級生と一緒に帰宅していたため、声を掛けられなかった。そのため、Fは「Aと直接対面して話すことは無理だ」と考え、同年1月下旬には両親が在宅する時間を選んだ上で改めて電話を掛け、応対した父親Dに「娘さん (A) に金を貸したが、返してもらえないので、お父さんが代わりに払ってほしい」と要求したが、この時もDから「いい加減なことを言うな。うちの子供が他人から金など借りるわけがない」と拒絶された。同年2月(日付不明)、Fは21時ごろにA宅を訪れ、A宅の玄関外にてAと2人で話し合ったが、Aが大声を出したため、父親Dにより2人とも玄関内に入れられた。AはDから「いつ、どこでいくら借りた?」と質問され、「熱海へ行った時の金だ。借りたのではなく、おごってもらった。」と答えたが、Dは「これ以上、目の前にいる男 (F) と関わり合いになりたくない」と考え、Fに「2人で熱海に行ったのが事実なら、立て替えてもらったAの分は自分が払う」と申し出た上で金額を尋ね、おおよその額である3,000円をFに渡した。その上で、Fに「娘が世話になったから、どこの誰なのか教えてほしい」と訊いたが、Fは「平塚市在住の山田等(偽名)だ」とだけ答え、さらに話を聞き出そうとするDに「詳しく教えれば家に電話を掛けてくるだろう。そうなるとお母さんが迷惑する」と答えた。この時、FはDから「うちの娘とはもう付き合わないでくれ」と念を押されると「金さえ返してもらえればいい」と回答したが、Fはその後もAとの交際を諦めきれず、しばしば午後にA宅へ電話した。ほとんどはすぐ切られたか、Aが不在の時だったが、同年3月11日(3学期修了直前)に電話するとAが応対したため、FはAと辻堂駅南口で落ち合う約束をした。約束通り、辻堂駅でAと対面したFは「あの金(3,000円)は返してもらう必要はなかった」と言いつつAに金を返した上で、「お前のことが好きだ。付き合ってほしい」と申し出たが、Aは「あんたなんかダサいし、話題も貧弱だから嫌だ」と拒絶したため、Fはいったん手渡した現金を奪い返し、Aの顔面を平手打ちした。 しかし、その後もFはAに電話を掛け続け、同年3月20日には喧嘩別れしたはずのAが電話に応じ、互いに自分たちの非を認め謝罪する形で和解した。その後、2人は同月下旬に再び辻堂駅南口(東急ストア前)で待ち合わせた。この時、制服姿だったAが「帰宅して着替えたい」と言ったため、FはA宅まで同伴したが、Aは家に入ったところ、玄関を施錠してFを閉め出した。2人がドア越しに口論していたところ、帰宅した母親CがFに「まだ何か用があるの?」と問い詰めてきたため、Fは「お金のことで来ました」と申し出たが、Cからも「お金なら前返したはずじゃない」と返され相手にされなかった。なお、当時AがFとの交際を再開した理由については正確には解明されていなかったが、当時Aは文通相手の男性との交際が不調に終わっていたことに加え、バレンタインデーには先述の好意を寄せていた同級生の男子生徒から「僕は他に交際している子がいる」と交際を断られていた。これらの事情を踏まえ、遠藤 (1988) はAがFと再び接近するようになった事情について、「Aの行動には、この年ごろ(思春期)特有の不安定な感情が強く表れている。Aは意中の同級生に告白できないことの寂しさや心の空白を埋めるため、成人男性と文通に応じたが、そんな彼女にとってFは『しつこさは目に余るが、盛んにモーションを掛けてくる存在』だったため、いったんは避けることを決めたにも拘らず、再び電話で話したり、会ったりしたのだろう。問題は、Fに『Aが思い煩う内面』を理解できるだけの思いやりがなく、『このまま突き進めば相思相愛の間柄になれるのではないか』という幻想を抱いたことだ。Fがそれを幻想だったことを認識したため、Aへの殺意が生まれた。」と考察している。 Fは同年3月 - 4月にかけ、チョコレートなどを持って2回ほど(当時妹Bが1人で留守番していた)A宅を訪れ、Bに自室へ案内してもらった。Fはこの時、Bに彼女自身や姉Aの卒業アルバムを見せてもらったり、姉妹それぞれの部屋に通してもらったほか、Bとキスもしている。これ以降もFは頻繁にA宅に電話を掛け、Aも初めは快活に応対していたが、やがて一貫して強い拒絶の態度を取るようになり、妹Bも電話を代わった際に姉Aに同調した。その後、父親Dが出た際にFは「Aと交際させてほしい」と申し出たが、Dは「Aは大学受験を控えているから男女交際などする暇はない。Aも嫌がっているからやめてほしい。勝手に好きになられても困る」と拒否した。最終的に、DはFからの要求を拒絶し、家族に対し「しつこい男だ。今度うちに来たら110番するしかない」と言い渡したが、Fは一連の電話で「Aから一貫して侮辱された」と逆恨みし、殺意を抱き始めた。
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