関係の制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:31 UTC 版)
集合 X の関係の部分集合 S への制限 (restriction) とは、その関係のグラフに属する順序対 (x, y) で x と y がともに S に属するようなもの全体の成す集合をいう。 関係が、反射的である、非反射的である、対称である、反対称である、非対称である、推移的である、完全である、三分的である、半順序である、全順序である、狭義弱順序である、全前順序である、同値関係であるといった性質は、制限によって保たれる。 しかし、関係の制限の推移閉包はもとの関係の推移閉包の制限の部分集合とはなるが一般には一致しない。 また、完備性 (completeness) のいくつかの概念(完全性 totalness と混同してはいけない)は、制限によって遺伝しない。例えば、実数全体の成す集合 R 上で、通常の大小関係 "≤" は「R の任意の空でない部分集合 S で R に上界を持つものは R に上限(最小上界)を持つ」という性質があるが、しかし関係 "≤" を有理数全体の成す集合 Q 上に制限すれば、有理数からなる部分集合の上限は必ずしも有理数ではないから、この性質は保たれない。 X と Y 上の二項関係の左制限 (left-restriction) あるいは右制限 (right-restriction) はそれぞれ、その始集合あるいは終集合の部分集合 S に対して、その関係に属する対 (x, y) でそれぞれ x あるいは y が S の元となっているようなもの全体として得られる関係をいう。
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