過払金返還請求訴訟の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 20:13 UTC 版)
消費者金融業者との間で長期間にわたってグレーゾーン金利での借入れと返済を続けている場合、過払いになっていることが多い。 しかし、消費者金融業者は、弁護士や司法書士などの専門家の介入しない件で、本人に対し、訴訟外で過払金を返還することはまずない[要出典]。専門家が介入しても、訴訟外で民法704条に基づく利息まで返還することは、当該専門家が過払金返還請求について経験豊かな者でない限り、あまりないようである。 そこで、債務整理のため依頼した弁護士や司法書士を通して、あるいは代理人を選任せずに(本人訴訟で)、過払金返還請求訴訟を提起することになる。ただし、本人訴訟の場合、貸金業者側の反撃に遭い、後記の民法704条に基づく利息を付さない和解に追い込まれるケースが多いといわれ[要出典]、また、後掲のように、取引履歴の不開示があったり、充当関係で複雑な事案であったりすると、本人訴訟で法律上正しい金額の返還を受けることは極めて困難なようである[独自研究?]。 最近[いつ?]、後述のみなし弁済について借主側に有利な判例が出ていることもあって、近年[いつ?]、過払金返還請求訴訟が全国で相次いで提起されている。消費者金融業者もこれを受けて業績の見直しを迫られている状況である。これに対して、過払金請求による貸金業者の急激な廃業、それによる信用収縮という状況に警鐘を鳴らすべく、北は旧社団法人青森県貸金業協会から南は旧社団法人沖縄県貸金業協会に至る全国12の旧貸金業協会は、「急増する過払い請求に対して」と題する共同声明を平成19年6月12日に発し、過払金請求の不当を訴えた。 これについては、出資法改正により貸付利率が利息制限法の水準まで引き下げられ、今後、新たな過払金は発生しにくくなること、また、出資法改正により、多重債務者の利払負担が減り、長期的には信用収縮以上に与信需要が低下すると見込まれることから、過渡期における一時的な不都合に過ぎないとする見解もある[誰によって?]。 最近は[いつ?]司法書士・弁護士が過払金返還請求に力をいれていて、「過払い金解決」をうたう広告が目立つようになったが、報酬が高額などといったトラブルが増加しているといわれている。弁護士報酬については各事務所ごとに基準が設けられており、近時はホームページなどで公開している事務所も見受けられる。旧日本弁護士連合会報酬等基準によれば、任意整理については弁護士が債権取り立て等により集めた配当原資額につき、500万円以下の場合15%、500万円を超え1000万円以下の場合10%+25万円などとされていた。弁護士や司法書士によっては、かかる過払金報酬に加えて任意整理につき減額報酬までを徴収することもあるようであり、多重債務問題の解決を目指すどころか、貸金業者の替わりに弁護士への報酬債務の負担を負うことになった債務者も多数存在するとの問題が指摘されている(ただし、日本弁護士連合会は、平成23年度より「債務整理事件処理の規律を定める規程」を施行し、減額報酬の受領を禁止している。)。他、過払金返還請求の代理人を務めることで得た報酬について所得を隠し、脱税していた司法書士の存在も判明している。 また、過払金返還訴訟で借主が勝訴する判決が相次いでいるが、これについて、裁判を担当していた神戸地裁社支部の裁判官が「異常事態」とか「司法ファッショと批判されかねない」などと発言し批判していたことが判明し、波紋を呼んでいる。 2010年に経営破綻した武富士から債権譲渡を受けた「富士クレジット」が、武富士の顧客の一部に対し、武富士に(過払金返還請求など)一切の金銭的請求をしないことなどを条件とする「和解書」を送付していたことが判明する。事実上、返還請求を封じようとする動きであるとの指摘が出ており、金融庁などは、弁護士法やサービサー法などに抵触する可能性があるとして問題視している。
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