みなし‐べんさい【見×做し弁済/▽看×做し弁済】
読み方:みなしべんさい
貸金業法・利息制限法で、利息制限法の上限金利を超える金利を合法とした例外規定。債務者が上限金利を超える金額を任意に支払った場合、債務者は返還を請求できない。この規定が適用されれば、出資法の上限金利である29.2パーセントまでは合法と認められる。しかし、最高裁判所は「制限超過利息分は元金に充当される」「元金完済後に支払った制限超過利息分は返還を請求できる」「債務者が支払いを強制された場合は任意の支払いにはあたらない」など、債務者を保護する判断を示した。→グレーゾーン金利
[補説] 平成22年(2010)6月、出資法の上限金利が20パーセントに引き下げられ、みなし弁済制度は廃止された。利息制限法の上限金利(元本により15〜20パーセント)と出資法の上限金利(20パーセント)の間の金利での貸し付けは行政処分の対象となる。
みなし弁済(みなしべんさい)
利息制限法
みなし弁済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 20:13 UTC 版)
昭和58年、貸金業の規制等に関する法律(現在の貸金業法)が制定された。同法は、貸金業者に対する登録、規制を強化するのと引換えに、貸金業者に対してみなし弁済(みなしべんさい)という恩典を与えるものであった。すなわち、同法43条は次の要件を満たす場合には制限超過利息の支払を有効な利息債務の弁済とみなすと規定している。 登録を受けた貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約であること 借主が利息として任意に支払ったこと 貸金業者が、借主に対し、消費貸借契約締結の際、遅滞なく、貸金業法17条所定の、契約の内容を明らかにする書面(17条書面)を交付したこと 貸金業者が、借主に対し、借主から返済を受けた都度、直ちに、貸金業法18条所定の受取証書(18条書面)を交付したこと みなし弁済が認められると、前記の最高裁昭和39年による元本に対する充当が認められないので、貸金業者は自己の計算どおりの貸金を請求することができ、過払金も発生しないことになる。 判例は、この貸金業法が成立して以来、17条書面・18条書面に当たるかを厳しく解釈したり、「遅滞なく」、「直ちに」という要件を厳しく解釈したりすることにより、借主を保護しようとしてきた。また、支払いの任意性についても「期限の利益喪失特約(借主が約定利息の支払を怠った場合には期限の利益を喪失し、残元本を一括返済しなければならないとの特約)の存在の下での支払いは任意とはいえない」という判断が最高裁で昭和53年にすでになされていた。 その後、平成16年2月20日最高裁判決の滝井繁男裁判官の補足意見をきっかけに平成18年になって期限の利益喪失特約による任意性の欠缺があらためて注目され、同種の事件のリーディングケースとして注目されることとなった(最高裁にて滝井繁男裁判官の補足意見が上田豊三裁判官以外の13名の裁判官の多数意見となった)。消費者金融業者の貸付けには通常期限の利益喪失特約が付されているのでこの判決の影響は大きく、今後、みなし弁済の適用を主張することはほぼ不可能になったといえるが、この判決以降においても、シティズにおいては、この最高裁判決を受け期限の利益喪失特約を見直した結果、この最高裁判決以降においても、みなし弁済の主張を認められた下級審の裁判例が存在する。また、この最高裁判例が一つのきっかけとなって、グレーゾーン金利見直しの論議が高まることになった。
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みなし弁済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:33 UTC 版)
みなし弁済(〜べんさい)とは、貸金業法旧43条1項、3項により有効な利息又は賠償の支払とみなされる弁済をいう。なお、貸金業法の改正、第5次施行により、平成22年6月18日に、みなし弁済規定は撤廃されており、それ以前の貸付において問題となっている。 貸金業者は、貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令(貸金業法施行規則)で定めるところにより、所定の事項についてその契約の内容を明らかにする書面(実務上「17条書面」と呼ばれる。)を相手方に交付しなければならない(同法17条1項)。 また、貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、内閣府令(同規則)で定めるところにより、所定の事項を記載した書面(実務上「18条書面」と呼ばれる。)を当該弁済をした者に交付しなければならない(同法18条1項)。これらの規定は、貸金業者が契約内容を説明した書面や弁済の受取証書を借主に交付しないために契約内容や弁済の有無をめぐって紛争が頻発したことから、こうした紛争を予防する目的で置かれたものである。 そして、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息(みなし利息を含む。)の契約又は賠償額の予定に基づき、債務者が利息又は賠償として任意に支払った金銭の額が、利息制限法1条1項、4条1項に定める制限額を超える場合において、貸金業者が17条書面及び18条書面を交付しているときは、その支払は、有効な利息又は賠償の支払とみなされるのである。 これは、前述した判例理論を一定の限度で覆すものであって、消費者保護に熱心な論者の間では廃止論が極めて強かった。そして、貸金業法等の改正(平成18年12月20日法律第115号)により、平成19年12月19日から起算して2年半以内に、みなし弁済の規定は廃止されることとなった。もっとも、現在においても、判例がみなし弁済の要件を厳しく限定したため、裁判実務においては、極僅かのシティズの事案を除き事実上みなし弁済の成立は認められなくなっている。裁判例においてしばしば問題となってきた論点は、次のとおりである。 17条書面及び18条書面の交付があったか。 交付された書面が17条書面及び18条書面としての要件を満たしているか。 18条書面の交付が弁済「の都度、直ちに」なされたものといえるか。 借主のした弁済が「任意に」支払ったものといえるか。 借主のした弁済が利息又は賠償「として……支払った」ものといえるか。 みなし弁済が成立しない場合において、超過支払部分の不当利得返還義務を負う貸金業者は悪意の受益者(民法704条)といえるか。 悪意の受益者だとして、不当利得に付される利息の利率は民事法定利率(年5%)か、商事法定利率(年6%)か、それより更に高利率か。
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