連続再生方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 01:22 UTC 版)
「ディーゼル微粒子捕集フィルター」の記事における「連続再生方式」の解説
CRTに代表される方式で、フィルターに捕集しながら再生を行う理想的な方式。CRTなどは、電気など外部からのエネルギーの補填を必要としないので自己再生方式とも呼ぶ。ウォールフロー型のため、PMの低減率は概ね9割を超え比較的高く、酸化触媒の作用によりCO、HCにも低減効果がある。 再生するためは、酸化触媒内の温度を二酸化窒素を生成するのに必要な250 - 300℃程度に上昇維持させる必要があり、この温度維持のために排気ガスの熱エネルギーやポスト噴射(燃焼行程後の追加噴射)もしくは排気管内噴射により燃料を触媒内で燃焼させる(ポスト噴射の場合はすなわちアフターファイアーさせることと同じである)ことによって得た熱を利用する。再生に使う燃料噴射は多少の燃費の悪化を伴う。特にポスト噴射を行う場合は燃料の一部がシリンダー壁に付着してエンジンオイルを希釈するという問題がある。排気管に燃料点火弁を設け、この希釈問題を回避する技術もある。 なお、再生可能な温度に達しないまま走行を続けるとフィルターが詰まり、さらにこの状態で高速走行あるいは高負荷運転を行うと溜まった粒子状物質が急激に燃焼、その燃焼熱でフィルターの耐熱温度(約600℃程度)を超えてしまいフィルターが溶損する。したがって、稼働のためには、酸化触媒とフィルターの温度制御が重要である。 連続してエンジンに負荷をかければ使用中に再生が行われるが、アイドリングや短時間の運転を繰り返すと排気温が上がらないため再生が進まない。フィルターが詰まってくると警告灯が点灯するようになっている。一部にはすすの堆積量を表示できるものもある。車両の運行等の使用中に再生できない場合は手動で再生する。エンジン回転を上げて、排気温度を上昇させる方法で行う。再生には数分 - 数十分の時間を要する上、通常は走行等ができないため、燃料と時間のロスを伴う。蓄積状況に応じて再生を制御するものは再生制御式と呼ばれ、尿素SCRとの併用が一般化した世代では主流の方式となっている。 また、酸化触媒が、軽油内の硫黄分から触媒内で生成されるサルフェート(硫酸塩)の被毒に対して弱いため、S50などの低硫黄軽油の使用が推奨されている。 なお、既存エンジンにも装着可能な後付タイプとエンジン製造時に装着されエンジンシステムに統合された一体型の2種があるが、後付タイプでは温度維持を排気ガスの熱のみに頼っており、市街走行など排気温度が上がりにくい条件下では再生が効かないなど稼働条件が限定されるため、コモンレール式噴射システムを併用することで触媒とフィルターの温度制御を細かく行え稼働条件の制限が少ない一体型が主流となっている。
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