逃亡犯罪人引渡し手続き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 20:44 UTC 版)
「逃亡犯罪人引渡法」の記事における「逃亡犯罪人引渡し手続き」の解説
第3条から第21条までにおいて、犯罪人の引渡し手続きの流れが規定されている。 第三条は、外務大臣が引渡の要求を外国から受けた場合の手続規定 第四条は、法務大臣が外務大臣からその書類を受けたときどうするかについて 一号、二号の「明らかに逃亡犯罪人を引き渡すことができない場合に該当する」二条の各号に該当する場合。或いは二条六号、七号の場合はそこで拒絶することができる。 その他の場合については東京高等裁判所に判断を仰がせるために、検事長にこれを下命する。 第五条は、引渡しの手続を行う場合に、身柄の拘束の規定。「東京高等裁判所の裁判官かのあらかじめ発する拘禁許可状」という令状が要件として、身柄の拘禁ができる。拘禁許可状の手続或いは記載事項等が二項、三項等において規定されている。 第六条は、その執行手続。 第七条は、執行した場合の東京高等検察庁の検察官の手続。身柄を受取った場合に人違いであるかどうかを調べ、人違いでないときはこれを指定の監獄に入れるという手続。 第八条では、収監後の手続として、改めて正式に審査請求がある。二十四時間内に行う。 第九条では、東京高等裁判所における審査手続。二箇月以内に決定をする。なお、審査についての関係証人の尋問、鑑定、通訳、翻訳等の手続などは、刑事訴訟法の規定がそのまま準用される。 第十条に東京高等裁判所での決定の種類、内容等。「請求が不適法であるときは、これを却下する決定」「引き渡すことができない場合」など、実質的、内容的にできない場合。引き渡すべき場合にはその旨の決定。この決定については不服の申立てはできない。ただ、その決定に基いて法務大臣が行政処分をした場合には、これは一般の行政手続に従つて不服申立の途がある。 第十一条、審査請求命令の取消の規定。たとえば、締約国からそういうような犯罪人の引渡の請求を撤回するという場合など。 第十二条、逃亡犯罪人を釈放する場合。東京高等裁判所が第十条一項の一号、二号のつまり却下する決定或いは引き渡すことができない旨の決定をした場合、又は前条の規定によつて審査請求命令が結局取消しになつた場合、これは拘禁が不必要になるので、逃亡犯罪人を釈放する。 第十三条は、裁判された場合の裁判書の謄本を法務大臣に提出する場合の規定。 第十四条、法務大臣が引渡に関する命令をする場合の規定。「法務大臣は、第十条第一項三号の決定があつた場合」、つまり引き渡してよいとの東京高裁の決定があった場合には、「逃亡犯罪人を引き渡すことができ、且つ、引き渡すことが相当であると認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し逃亡犯罪人の引渡を命ずるとともに、逃亡犯罪人にその旨を通知し、逃亡犯罪人を引き渡すことができず、又は引き渡すことが相当でないと認めるときは、直ちに、東京高等検察庁検事長及び逃亡犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人の釈放を命じなければならない。」。ここで初めて法務大臣が東京高等裁判所の決定に基いて行政処分をなす。 第十五条、引渡命令に基いて、引渡命令の日から起算して三十日目までの間に、相手方に引き渡す。締約国に対し、引渡の命令が出たから受取りに来くるように通達する。 第十六条、措置についての規定。「引渡の命令は、引渡状を発して行う。」三項、四項の規定は、引渡状は検事長に交付する。締約国のほうに、受取りの書面として、受領許可状を外務大臣を通して交付する。 第十七条、引き渡す際の手続。「東京高等検察庁の検事長は、法務大臣から引渡状の交付を受けた場合において、逃亡犯罪人が拘禁許可状により拘禁され、又はその拘禁が停止されているときは、逃亡犯罪人が拘禁され、又は停止されるまで拘禁されていた監獄の長に対し、引渡状を交付して逃亡犯罪人の引渡を指揮しなければならない。」つまり、監獄の長に対し、引渡の命令を出し、指揮をする。 第十八条、法務大臣は手続きの上で必要なことが全て終了したら、外務大臣に対しいつ何日どういう場所で引渡したい、或いはいつまでにこれを取りに来いとの通知をする。 第十九条に外務大臣は引き渡す側に正式に通知を行う。 第二十条によつて、はじめて引渡が行われる。 第二十一条には、身柄の受け取りまでの期限が示されている。
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