近代的な改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 03:42 UTC 版)
ウッド博士は、医療技術としての注射の普及と受け入れ、および皮下注射針の普及と受け入れに大きく貢献していると考えられる。皮下注射針の基本技術は19世紀からほとんど変わっていないが、年々進歩し、医学や化学の知識が向上するにつれ、安全性と有効性を高めるために小さな改良が加えられ、針は非常に特殊な用途に合わせて設計され調整されている。用途に合わせた針の仕様の変化は、特に糖尿病患者へのインスリン投与のために、1920年代に始まった。第二次世界大戦の勃発は、戦場でモルヒネやペニシリンを投与するための部分的に使い捨ての注射器の初期の開発に拍車をかけた。完全に使い捨て(英語版)の皮下注射針の開発は、いくつかの理由から1950年代に促進した。朝鮮戦争で血液が不足し、それに応じて、採血用の使い捨て無菌注射器が開発された。この時期にポリオに対する予防接種が広く行われたため、完全に使い捨ての注射器システムの開発が必要であった。 1950年代には、使用済みの注射針による二次汚染が増加し、認識されるようになった。これは、1956年にニュージーランドの薬剤師コリン・マードックによって、最初の完全に使い捨てのプラスチック製注射器が開発されたことにつながった。この時期はまた、針の仕様から一般的な無菌性へと、安全性への関心の変化も見られた。1980年代には、HIVが流行し、使用済みの針からの二次汚染の安全性に対する懸念が新たに高まった。特に医療従事者の安全性を確保するために、使い捨て針に新しい安全管理が設計された。これらの管理は、引き込み式の針などの針そのものだけでなく、使用済みの針の取り扱い、特に今日の医療現場で見られる硬質素材の廃棄物容器の使用においても実施された。 2008年までには、すべてプラスチック製の針が生産されていたものの、使用は制限された。一つのバージョンは、芳香族液晶ポリマーのベクトラ(英語版)で作製され、ハブ部1.2mmから先端部0.72mmにテーパーが付けられ(22ゲージ金属針相当)、内外径比は70%である。
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