装甲鋼鈑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:51 UTC 版)
大和型戦艦の船体は、舷側上部は410mmのVH(ヴィッカース非滲炭)甲鉄、舷側下部は50 - 200mmのNVNC(新ヴィッカース非滲炭)甲鉄、甲板は200 - 230mmのMNC(モリブデン含有)甲鉄で覆われていた。また砲塔前楯及びバーベット部は650mmのVH甲鉄(ただし大和型砲塔用の装甲に関与した、佐佐川清元技術大佐は560mmと証言。設計図では、露出バーベット部は560mmVH、艦内部分は490mmVH)、天蓋は270mmである。これは全ての軍艦の中で、最も強固な直接防御である。VH甲鉄は長門型まで用いられてきたクルップ式浸炭(炭和)甲鉄 (KC) にかわって採用されたもので、炭素ではなく窒素を使って甲鉄の表面を硬化させている。浸炭甲鉄より撃力に対して優れているとされ、ヴィッカース式硬化甲鉄の頭文字をとってVHと呼ばれる。なお、VH甲鉄の意味はKCに対して生産性が向上していることにある。 主要防御区画の水平装甲は次のような防御要領となっている。 2トン爆弾:投下高度2,200m以下で耐えること 1.5トン爆弾:投下高度2,600m以下で耐えること 1トン爆弾:投下高度3,400m以下で耐えること 800キロ爆弾:投下高度3,900m以下で耐えること 集合煙突の採用 前述の小型化成功の一因には、煙突を傾斜させて一本にまとめ、艦橋に排気と熱気が影響を与えるのを防いだ集合煙突の採用がある。もっとも、集合煙突は排煙能力が低いため、日本と仏海軍以外はあまり採用されなかった(強制排煙装置を設置すれば補うこともできたが、大和型には強制排煙装置は設置されていない)。 煙路防御 蜂の巣状に180ミリ(諸説あり)の穴をあけた厚さ380ミリの蜂の巣装甲板を煙突内部、装甲甲板の高さに設置することで煙路防御を行った。煙路防御自体は長門型戦艦の世代から行われており、従来型の戦艦でも煙突内部に断片防御格子を設置することで、爆弾は防御されていたが、戦艦主砲弾に対応した蜂の巣装甲の採用は世界初であった。 煙突自体にも、根本部分の一部に50ミリCNCの防御が施されていた。これは艦橋から離すために煙突を後方に傾けたため、ここに被弾する可能性が生じたためである。形状から「亀の子アーマー」と呼ばれた。米ネバダ級戦艦の343ミリ装甲などに対して厚いとは言えなかったが、上述の蜂の巣甲板で機関部への直撃を防いだためである。煙突基部は上甲板の低い位置にあるため、武蔵の事例のように沈没の際に傾斜で浸水が最上甲板に達したさいに、穴が空いた煙突基部から機関部に浸水する危険性があった。 なお、牧野茂は戦後40年以上経過した際にも「日米の甲鉄の耐弾力の優劣は不明」と明記していた。
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