被告人による訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 02:11 UTC 版)
「ルーシー・ブラックマンさん事件」の記事における「被告人による訴訟」の解説
2008年1月、まだ控訴審が始まる前には、受刑者(当時は被告人)が『マンガ 嫌韓流』の版元である晋遊舎と作者の山野車輪を提訴している。理由は、 『嫌韓流』第3巻(2007年8月下旬刊行)p.187に「1992年2月から2000年7月の間に白人女性ら10人をマンションに連れ込んで意識を失わせ強姦し、そのうち2人を死亡させたとして有罪判決を受けた」とあるが、判決では1人を死亡させたとしか認定されていない。 「有罪判決」が当時まだ確定判決ではなかったことを明記していない。 「いや実は彼は…元在日なんだ」ともあるが、反韓の文脈でこの情報を記すことは原告への名誉毀損にあたる(のちプライバシー侵害の主張も追加)。 というもので、損害賠償請求額は5000万円、さらに『嫌韓流』第3巻p.187の当該記述を削除せよと求めていた。山野は「2人を死亡させた」との記述については「単純ミス」と認めつつも、「当時すでに彼の社会的評価は最悪だったので、この記述によってさらに評価が低下したとはいえない」と反論。また「有罪判決」が当時まだ一審判決に過ぎなかったことは広く報じられており、自明であると述べた。「元在日」との記述については「ある人の国籍を述べることは名誉毀損なんですか? 彼は在日だったことが恥ずかしいのですか? 彼の考え方はおかしいですよ」と抗弁している。 一審では山野側の代理人弁護士が「バックに組織がいるような気がする」「事務所に集団抗議や嫌がらせが来ないとも限らない」との理由で逃げてしまい、山野側は新しい弁護士を立てて争った。 2008年9月18日、東京地裁で原告の主張が訴因2を除いて認められ、山野らは慰謝料80万円の支払いを命じられた(ただし削除の要求については却下)。 2009年3月5日、東京高等裁判所は山野らに20万円の支払いを命じた。東京高裁は、原告が元在日韓国人だったとの事実は2007年8月下旬当時広く知れ渡っていたとはいえず、山野の記述はプライバシー侵害にあたると認めつつ、重大事件で有罪判決を受けた者に関しては民族的出自を公表する利益が公表しない利益を上回ると判示した。その後、原告は最高裁への上告を断念し、高裁判決が確定した。この顛末は山野の著書『マンガ嫌韓流4』に描かれたが、山野は「印税の半分は○○○○(原文は実名)との裁判での費用に飛び、アシスタント経費などと合わせて、利益は全く上がっていません。ザル勘定でプラスマイナスゼロ。ただしこの裁判費用については、版元の方が多く負担してくれたことは記しておきたい」と述べている。 このほか、受刑者(当時は被告人)は『週刊新潮』を名誉毀損で提訴したり、「霞っ子クラブ」のブログの記述に訂正を要求したりしている。また『タイムズ』紙のリチャード・ロイド・パリーも名誉毀損で提訴されている。訴えの内容は「被告人が拘置所で服を脱ぎ、独房の洗面台にしがみついて出廷を拒否したとの報道は事実無根」というもので、この時の損害賠償請求額は3000万円であった。パリーは勝訴したものの、『タイムズ』紙は約1200万円の弁護士費用の負担を余儀なくされた。被告人個人は2004年に238億円の負債を抱えて破産していたものの、タクシー会社やパチンコ屋を経営する家族が高額の裁判費用等を負担していた。
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