衝動水車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/10 14:49 UTC 版)
衝動水車(しょうどうすいしゃ)は、圧力水頭を速度水頭に変えて水車に作用させるものである。衝動水車には以下のようなものがある。 ペルトン水車 ノズルからのジェット水流をランナ周囲のバケットに当てて回転させる水車。大型のものはノズル数を多くして、効率を上げている。使用ノズルの数を変えることにより部分負荷でも効率が良い。デフレクタ(そらせ板)により水流の向きを変えて負荷遮断時急停止できるので、水圧管の圧力上昇を抑えることができる。高落差に向く。 クロスフロー水車 ガイドベーンにより調節された流水が、横軸の円筒型のランナの上部から中心へ流れ込み、下部で中心から外部へ流れ落ちる構造である。流水が羽根に二回作用するため比較的効率が良い。最高効率点での効率は他に比して劣るものの、水量変化による効率の変化は少なく、小規模の変流量地点に適する。 ターゴインパルス水車 ペルトン水車同様、ノズルからのジェット水流が持つ運動エネルギーを全て速度エネルギーの形で利用するが、ランナーの片面からあてて回転させるところが違う。比速度はペルトン水車の2倍なので、等しい出力を得るために必要とされるランナ直径はペルトン水車の半分で済む。ペルトン水車よりも使用水量を多く取れ、フランシス水車に必要な密閉構造が不要である。有効落差は、ペルトン水車とフランシス水車の両方が重なったところである。 開放周流形水車 所謂“普通の水車”である。→水車も参照。水力発電では従来、ケーシングを持ち、高速回転する水車が使用されてきた。しかし、低速回転でも有効な電圧を確保できる発電機の登場や、ギアボックスの併用により、10rpm未満の開放形水車をミニ水力、マイクロ水力用の水車として見直す動きが出てきた。エネルギーの変換効率という点ではケーシング式の水車に劣る反面、流水中の異物が溜まりにくく、また整備・清掃の際に大規模な分解を必要としない為メンテナンスコストが安い。下掛け式であれば有効落差はほぼ0mでも流量が期待できれば使用可能である。また、ある程度落差がある場合は上掛け式とすることで効率が向上する。海外では早いうちから注目され、大型上掛け式水車による小水力級の水力発電も試みられてきたが、日本では開放形水車を産業革命以前の技術と捉える向きがあり、再評価が遅れた。2005年、都留市が、河川そのものの流れを利用する下掛け式水車を使用したマイクロ水力の実用試験と、同市の光熱費の低減を目的として、家中川小水力市民発電所「元気くん1号」(20kW)を同市庁舎前を流れる家中川に設置した。 水車のデザインを工夫すれば、農村的景観を損なわずに発電が可能である。世界文化遺産に登録されているインドネシア・バリ島の棚田地帯では、日本の富山市と市内の水機工業が支援して設置した水車による発電が2017年秋に始まった。
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