著者の特定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 21:35 UTC 版)
「著者名の引用 (動物学)」の記事における「著者の特定」の解説
著者の特定は長い間論争となった問題で二次的に重要な問題であった。動物学命名法の国際的ルールを提供する1895年の最初の試みにおいて、著者は科学的記載の著者として定義され、それ以前に様々な動物群での慣習であった(公表であれ未公表であれ)名前を提供した人とはならなかった。このため、例えば軟体動物学など一部の学問分野では、それまで科学的著作物を公表したことがない人々を著者とみなしていたために、大半の学名でその著者を変更しなければならない結果となった。 しかしながら、この新しいルールは十分に正確ではなく、正確な指針を提供していなかったので、その後数十年にわたって研究分野や著者によって分類学上の実践が異なることが続いた。この曖昧な状況にICZN委員会のある委員が、1974年に規約第2版(1961年以降有効)の条50の解釈を提出した。条50には著者は「適格性の要件を満たす方法で最初に学名を公表した人」と定義されているが、その解釈に従えばこれは主に記載(description)や判別文(diagnosis)の提供に制限されると見なされた。 現在、大半の(全員ではないが)分類学者がこの見解を受け入れ、タクソンの学名への著者権を元の記載の科学的内容テキストを書いたことに対して責任がある人、言い換えれば、出版社が最終的に出版したものを書き留めたことに対して責任がある人に限定した。図画がその名前が適格であるために提供されている唯一の根拠であったとしても、図画の作成者は学名の共同著者としては認識されない。 著者は一般にその著作物の著者である。 しかし時々、新しい動物学上の学名がその著者によって確立されないこともあった。 書かれたテキストの真の著者がオリジナルの出版物で直接認識できない場合、その人は学名の著者とならない(著作物の著者がなる)。テキストは実際には別人物によって書かれた可能性がある。未公表の資料からテキストの一節を写し取りながらそうと明示しない著者もいる。条50.1.1により、学名を適格にする責任者であることが著作物自体で明示的に言及されていない場合、これらの人物全員が学名の著者から除外される。 分類学者の大半は、テキストの一節を写し取られた先行して公表された引用資料の著者は、学名の著者として認められないという条50.1.1をも受け入れている。 分類学者全員がこれを知っているわけではないようで、 (例えば魚の命名法でのように)一部の動物群では、著作物の「真の」著者が今でも時おり種名で引用される ("Walbaum (ex Klein), 1792")という伝統がある。 記載の著者が著作物の著者と異なることもありうる。これはオリジナルの出版物に、全般的な陳述(「この作品のあらゆる動物学的記載はスミスによって書かれた」)または個別陳述(「次の3つの記載はヒメネスによって提供された」「彼女が記載に貢献してくれたため、この名前は私とWangに帰属するものとします」)のいずれかで明示されていなければならない。 1800年代は、記載に対する著者権を示すため、記載や判別文に続いて最後に別の著者の略記を記すのが普通のスタイルだった。これは今日も一般的に受け入れられており、もし記載が別の人に帰属するなら、その人物が著者となる。 別の著者名が見出しの新しい名前の後ろにのみ記されている(かつ判別文がその人によって書かれたことを示すため、その判別文の後で繰り返されていない)場合、これは記載にではなく新しい名前に対する著者権のみを示すための慣習である。これらの名前の著者は条50.1でカバーされておらず、受け入れられない。あくまで記載に対する著者のみが受け入れられる。 1900-1920年までは著者権に関して幾つかの異なる慣習があり、動物群ごとに異なる伝統があった。これが初期の動物学文献において、動物名に対して今日のそうであるものとは異なる著者を我々がしばしば発見する理由となっている。条50.1は1900年代半ばに一般的に受け入れられて以来、非常に成功したモデルとなっている。真の著者が誰であるかを調査する必要はなく、若くて比較的経験の浅い研究者を含む全員が、オリジナルの著作物自体において著者の名前を検証し、確定することが可能である。
※この「著者の特定」の解説は、「著者名の引用 (動物学)」の解説の一部です。
「著者の特定」を含む「著者名の引用 (動物学)」の記事については、「著者名の引用 (動物学)」の概要を参照ください。
- 著者の特定のページへのリンク