緊急理事会での全議案否決
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「日本ボクシングコミッションにおける健保金問題」の記事における「緊急理事会での全議案否決」の解説
2016年8月7日に開催された中日本ボクシング協会の総会では、JBCに対し緊急理事会の招集を要請することが決議された。北日本を除く各地区協会もこれに賛同し、同日、東日本(会長の渡辺均、副会長の金平桂一郎)・中日本(会長の東信男、相談役の松尾敏郎)・西日本(会長の井岡弘樹)・西部日本(会長の本田憲哉、最高顧問の井上通文)の4協会が連名で、JBC理事で共同通信編集委員の津江章二に対し、緊急理事会で健保金の真相解明、調査委員会の設置、1週間以内の調査と結果の公表、JBC理事の12名から16名への増員などについて協議するように要請した。このとき、健保金の真相解明に必要な証憑等として協会側が求めたのは以下の9点である。 平成28年7月末現在の正味財産額 平成28年7月末現在の健康管理見舞金口座の残高と、この口座からのこれまでのすべての支出明細 裁判費用の総額とその内訳(和解金、バックペイ、訴訟費用、弁護士費用、その他経費〔交通費等〕) 裁判費用等の稟議書 平成23年度以降各期の委託費の内訳 内閣府に提出した、公益目的財産額並びに公益目的支出計画書 協会からの本件に関する要請並びにJBCからの回答書 安河内裁判における控訴および上告決定時の理事会・評議員会議事録 その他 本件に関するあらゆる証憑 津江は同月8日、緊急理事会の開催をY2に要請し、松尾は協会の動きを尊重して同日付で告発を延期するとともに「JBCの理事会の動向や調査結果如何によっては速やかに告発状を提出する」意向を表明した。 JBCは同月23日に緊急理事会を開催。津江のほか、前協会会長のY11、コミッショナーで東京ドーム代表取締役会長のY1、理事長のY2、統括本部長のY3、元東京ドームホテル代表取締役会長のY7という6理事による協議の結果、健保金の使途についての調査委員会の設置など6議案はすべて多数決により否決された。Y3関連の議題ではY3に議決権が認められなかったため、キャスティング・ボートを握っていたY2により否決となっている。協会側からは会長の渡辺均と事務局長のY12がオブザーバーとして同席したが、議決権はなく発言の機会もないまま終わった。JBCは協会側の要請を拒絶したまま、終了後の会見で「関係資料はすべて開示している。健保金問題については協会と協議もしており、JBCとしては解決済みと考えています。」と話した。金平はこの理事会での採決について、オブザーバーが2人までに制限され、資料の持ち出しは禁じられるなど、「密室状態で採決したのも同然」だったとして、コミッショナーへの失望を次のように語っている。 業界内で見解が分かれ、紛糾した際には、コミッショナーが裁定を下す伝統がボクシング界にはあった。我々は今回も、最終的には[Y2]コミッショナーの裁定を仰ぎ、中立で公平な裁断を下してもらおうと期待していたのです。ところが[Y2]コミッショナーは我々の提案の全てに反目した。事態を収拾するためのシステムがもはや機能していないことに衝撃を受けた。 — 藤岡雅、日本ボクシング界最大の危機!? ジムと運営組織が「全面戦争」へ JBCが試合を統括し、ライセンスの承認権を握っていることから、協会内ではジムや選手の活動停止を恐れる穏健派と強硬派が対立し、協会自体の分裂も危ぶまれていたが、JBCとの歩み寄りの機会を失った穏健派もここに至ってJBCと対峙する決意を固めたとされる。9月7日、JBCと協会の連絡協議会において、協会は改めて健保金に関する共同調査委員会の立ち上げ、安河内の復帰やY3の辞任等の討議、協会側が推薦する理事の増員を求めた。
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