給食費の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 10:07 UTC 版)
日本国憲法第26条第2項後段は、義務教育を無償とすることを規定している。しかし、この無償となる費用に、給食費などの授業料以外の費用は含まれないとする判例がある。学校給食法第11条は、学校給食の経費(以下、給食費)について、学校設置者と児童・生徒の保護者が負担することと規定している。 給食費の滞納 昨今、支払う余裕があるにもかかわらず、意図的に給食費を支払わない保護者が問題視されており、近年テレビ番組の特集などでも多く取り上げられるようになった。給食費を支払わない保護者の言い分としては、「給食の契約を結んでいない」「義務教育だから払う必要が無い」「支払う余裕がない」など、自由を履き違えたような身勝手な言い分も多い。中には「催促に来るのは、まるで借金取りみたいだ」「(払っていないからといって)給食の提供を停止できるのなら、停止してみせるべきだ」という発言も報道されている。また、生活保護を受けている世帯では滞納するケースが多いという(生活保護費や就学援助費に含める形で給食費用が上乗せして支給される制度があるが、周知されていないと指摘する声がある)。再三の支払い催促も無視する者がおり、給食費を回収に来た職員を保護者が殴った例(暴行罪や公務執行妨害罪に問われる)もある。ただし、実態としては滞納者は約1%、滞納額は約0.5%であり(この中には経済的な理由も含まれる)、さほど重大な問題ではないという指摘、問題の規模の小ささに比べマスメディアの取り上げ方が大袈裟であるという指摘、未納問題は昨今始まったことではないのでこれを「昨今の親のモラル低下」を原因とするのは的外れという指摘もある。 2007年1月24日、文部科学省は初の全国調査結果を公表し、2005年度の小中学校の滞納総額が、本来払うべき額全体の0.5%である22億円を超えた事を明らかにした。滞納者数は10万人近くで、約100人に1人が滞納していた計算となる。滞納率は県別では、沖縄県が3.8%、北海道1.4%、宮城県1.1%の順に高く、最も低かったのは、富山県と京都府の0.1%だった。その理由として、滞納があった学校の6割が、保護者の「モラルの低下」を原因として挙げている。また、保護者の「経済的問題」を理由に挙げたのは3割であった。滞納者を多数抱える自治体は対応に苦慮しており、自治体や学校での未納防止策としては、給食費を他の副教材費等と一緒にし「集金」として徴収する、前払い式食券方式にするなどが行われている。一部の学校では児童の保護者に、給食費を払わないと給食を食べさせないので弁当を持たす旨の誓約書を書かせたことで話題になった(その後、誓約書は廃止)。 埼玉県北本市の市立中学校4校では、2015年7月から給食費未納により食材購入に影響を及ぼす問題に直面したため、3カ月給食費の未納が続いた場合には給食を提供しないことを決め、各家庭に通知したところ該当する保護者は43人から3人に激減した。また、東京都練馬区では、2014年度から滞納者への働きかけ及び徴収を弁護士に委託する制度を導入しており、約260万円に及ぶ未納費が約120万円になる効果があった。 少子化対策 少子化対策の一環として、日本政府は2007年度より幼稚園の給食費(年間平均、約6万円(文部科学省調べ))を消費税の課税対象から外すとしている。 山口県玖珂郡和木町では幼稚園・小学校・中学校の、北海道三笠市では2006年度より少子化対策の一環として小学校の給食費を無料としている。
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