経営再建と新旧分離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:12 UTC 版)
開局当初から経営は苦しく、決算が黒字となっても続いたことがない状態であった。資本金は当初10億円あったが、その後赤字削減のため経費削減を補う形で大幅に取り崩し、1億円となった。 経費削減のため、一時西日本新聞社が発行するフリーマガジン「BNT」のうち5ページをタイムテーブルとしている時期があった。2005年11月からこの形式を採用していたが、「BNT」自体が終刊となったため、2008年4月から独自タイムテーブルの発行を再開した。この他にも、公式メールマガジン「CROSS PRESS」やポッドキャスティング(2006年4月から、インターネットラジオは以前にも公開したことがある)などを実施している。 2008年5月7日、株式会社エフエム九州は臨時株主総会を開き、自力での経営再建を断念し、東京の投資会社ネクスト・キャピタル・パートナーズが新たに設立した「株式会社CROSS FM」に放送事業を譲渡したうえで、会社を清算(新旧分離)することを決議し、発表した。広告収入の減少により2008年3月期決算では赤字が見込まれており、その結果、6億円の債務超過に陥ることが明らかとなった。新会社は他社からの増資を受けた上で同年6月23日に総務省九州総合通信局から放送免許承継の許可を得た。同年7月1日0時を以って放送設備、人員を旧会社から引き継ぎ、「CROSS FM」の愛称を継続して放送業務を開始した。 新社によって放送免許・放送設備などを旧社から引き継いだ日本の放送局は、過去には1973年10月31日に日本科学技術振興財団が運営していたテレビ事業(愛称・東京12チャンネル、科学テレビ)を同事業の番組制作(製作ではない)プロダクションである「株式会社東京十二チャンネルプロダクション」(日本経済新聞社が出資)が引き継ぎ、同年11月1日から同社が継承し、同時に社名を「株式会社東京十二チャンネル」(現在のテレビ東京)に変更した例があるが、前の法人の経営難により新旧分離によって設立された新法人による民間放送局の放送免許などの引き継ぎはCROSS FMが全国で初の事例となる。また日本の放送局の倒産は1994年、イトマン事件に絡んで本社社屋・放送機材が担保に入れられたことで会社更生法の適用を受けた近畿放送(現:京都放送・KBS京都)以来14年ぶりのことである。 エフエム九州の経営破綻から2年後の2010年4月、兵庫県のKiss-FM KOBEも経営陣の粉飾決算問題が発覚して経営破綻した。エフエム九州が経営破綻した2年3か月後の2010年9月30日、愛知国際放送(RADIO-i)が広告収入源の減少などで経営破綻に追い込まれ、日本の放送法に基づく放送局としては初めて引き継ぎ企業が現れることなく閉局に追い込まれた。その後経営破綻に追い込まれて閉局に追い込まれることはしばらくなかったが、2020年6月30日をもって新潟県の新潟県民エフエム放送(FM PORT)と愛知県のRadio NEOが閉局した。新潟県民エフエム放送は日本海側、放送エリアが全県を対象とする一般局の民放ではそれぞれ初めて、Radio NEOに至っては愛知県内の民放、外国語放送局ではそれぞれ2回目の閉局である。
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