素浪人罷り通る 血煙りの宿
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「素浪人罷り通る」の記事における「素浪人罷り通る 血煙りの宿」の解説
旅を続ける春夏秋冬は、幼い息子を抱きかかえて逃げるひとりの女とすれ違う。麓の村にたどり着いた春夏秋冬は、野盗が家屋に火を放ち庄屋を殺害する惨状を目の当たりにする。村人が、あの女のせいだと叫ぶ。その後、再び女と出会う春夏秋冬。村人は捕らえた女とその息子を野盗に引き渡すという。ふたりを村人の手から救い出した春夏秋冬は、息子のためにも逃げるのをやめるよう女に諭し、その場を去るのだった。それから三年後、その女お銀は忠告通り信濃矢崎宿のはずれに居を構え、息子と共に暮らしていた。旅の途中、お銀と三度目の再開を果たした春夏秋冬は、彼女の宿の世話になる。その夜、婚礼の宴会が行われていた宿場に野盗が現れ、狼藉を始める。宴会の手伝いに来ていたお銀は驚愕する。騒動のさなか、野盗の頭の弟を捕らえた村人たち。宿へと戻ったお銀は、春夏秋冬に野盗との因縁を語る。お銀の夫は、丹兵衛率いる野盗鬼火一味のひとりであったが、息子のために足を洗う事を決意する。しかしそれを聞いた丹兵衛は激怒。苛烈な暴行を受けた夫はお銀のもとで事切れる。お銀は一味をお上に訴人し江戸から追放することに成功したが、一味に目の敵にされ、追われる身となったという。村人のためにも矢崎宿から逃げるしかないというお銀を、春夏秋冬は思いとどまらせるのだった。翌朝目を覚ましたお銀は、寝床から春夏秋冬が姿を消したのに気づきうろたえる。しかし春夏秋冬は宿の屋根を葺き替えているだけだった。それを見て安心するお銀。耕した畑から大根が芽を出しており、秋には大根が出来ると喜ぶお銀に、春夏秋冬は笑顔を見せるのだった。一方、矢崎宿では鬼火一味の手配書が張り出されていた。宿場を自らの手で守ると決意した村人たちは、再び現れるであろう鬼火一味に備え柵を張り、武装する。そんな中、春夏秋冬を探す男半兵衛が宿場にやって来た。真崎の旦那に居場所を聞き、春夏秋冬のもとへたどり着いた半兵衛。彼はある五万石の小藩の遣いで、腕の立つ春夏秋冬を雇うことを厳命されて旅を続けているという。くどくどと話をする半兵衛をよそに、春夏秋冬は屋根を修理するのだった。代官所では、真崎の旦那が村人たちにお銀の宿を護衛するよう指示していた。その時、捕らわれの身である丹兵衛の弟が、お銀は守る価値のない女だと言い放つ。それを突っぱねる村人たち。そんな宿場にひとりの男が帰ってきた。かつて弥九と呼ばれていたその男弥九郎は、百姓の息子であった。三十年前に父親が盗みを働いたことで村八分にされ、村を出ていった男である。弥九郎が現れたのとほぼ同時に、鬼火一味が宿場にやって来た。丹兵衛は、弟とお銀を引き渡せばおとなしく引き上げると言う。真崎はこれを拒否し、戦闘が始まった。その様子を傍観していた弥九郎だったが、突如一味の三人を斬り捨てた。狼狽した鬼火一味はその場を後にした。その腕前に感心した村人たちは弥九郎に宿場を守ってくれるよう誘いをかけるが、弥九郎にその気はないという。弥九郎は、自身を追い出したこの宿場を憎んでいるのだ。お銀の身柄を要求してきたという鬼火一味の話を村人から聞いたお銀は暗い表情を浮かべる。そんな彼らの前に現れた弥九郎は、賞金首である春夏秋冬の首を取ると宣言し、去っていった。夜になると弥九郎は、幼少時の不幸な出来事を思い返しながら酒を呷っていた。店主に対し、村の奴全部が血の涙を流すのを見たいと唸るのだった。翌日、弥九郎はお銀の息子しょうたを誘拐し、鬼火一味に引き渡す。お銀が丹兵衛の弟を連れて来れば、引き換えにしょうたを返すという鬼火一味。しかし春夏秋冬は自分が行くと言い、お銀に刀を預けて一味のもとへ向かう。鬼火一味と共に待ち構えていた弥九郎は、春夏秋冬を斬るよう命令される。しかし賞金稼ぎとは丸腰の相手は斬らないものだと言う弥九郎。結局、自身が殴打されるのと引き換えにしょうたを取り戻した春夏秋冬。お銀を是が非でも殺したい丹兵衛に、弥九郎は春夏秋冬の同田貫を奪えば良いと入れ知恵するが……。
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