さんばんのしょ【算盤の書】
算盤の書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 13:35 UTC 版)

算盤の書(そろばんのしょ、羅: Liber Abaci、より適切には「算術の書」)は、1202年にレオナルド・フィボナッチが著した算術に関する書籍であり、計算の書(けいさんのしょ)とも言われる。フィボナッチはこの作品で、当時のボード上で石ころを使って行われたローマ式算盤に対して、アラビア数字による筆算を当時のヨーロッパ圏にラテン語で紹介した。記された内容はフィボナッチが父親のグリエルモ・ボナッチオと共に北アフリカに住んでいた時、アラブ人より学んだものとされている。数学史上は、アラビア語による数学がラテン語に翻訳され、ヨーロッパに広く普及する契機となった書としても知られている。当時、四則演算記号+, -, ×, ÷は発明されておらず、ここでいう筆算とはアラビア数字による十進法の計算を指す。
「算盤の書」はアラビア数学について述べた西洋初の本の一つである。その簡便さから商人や学者に用いられ、アラビア数学が当時知られた数学より優れたものであるということを人々に確信させた。
「算盤の書」の第二版は1227年に発表され、マイケル・スコットに献呈された[1][2]。今日、出版されているのはこの第二版の写本に基づくものであり、1202年のオリジナル原稿は現存しない。
各部の要約
第一部ではアラビア数学の体系について、筆算や異なる表記法間における換算の方法を含めて述べている。
第二部では商業を例にとり、通貨や寸法の換算、利益や利子の計算について述べている。
第三部では多くの数学の問題について論じている。例として、中国の剰余定理、完全数、メルセンヌ素数などである。同様に等差数列や四角錐数の公式についても論じている。また、この章では兎の頭数の増加について述べているが、それはフィボナッチ数列の起源となり、このため今日でもフィボナッチの名が広く知られるようになった。
第四部では平方根などの無理数の近似値を代数学や幾何学の知識で求めている。
この本ではユークリッド幾何学の証明や、連立一次方程式そしてディオファントス方程式についての研究についても述べられている。フィボナッチは10-11世紀に活躍したペルシアの数学者アル=カラジー (Abū Bakr al-Karajī) にこれらのことを学んだようである。
章立て
- インド・アラビア数字の読み方と書き方
- 整数の乗法
- 整数の加法
- 整数の減法
- 整数の除法
- 整数と分数の乗法
- 分数と他の計算
- 三数法、商品の相場
- 両替
- 合資算
- 混合法
- 問題解決
- 仮定法
- 平方根と立方根
- 幾何学(測量を含む)と代数学
フィボナッチの分数表記法
「算術の書」を読むのにフィボナッチの分数表記法を理解することは役立つ。その表記法とは当時まで一般的に用いられていたエジプト式分数と、今日も使われている形式の分数の中間のものである。
- 帯分数の表記において、現在
- Liber Abaci - PlanetMath.(英語)
算盤の書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:57 UTC 版)
「レオナルド・フィボナッチ」の記事における「算盤の書」の解説
1202年に出版された『算盤の書』の中で、フィボナッチは「インドの方法」(modus Indorum)としてアラビア数字を紹介した。この中では0から9の数字と位取り記数法が使われている。この本の中では位取り記数法の利点を、格子乗算とエジプト式除算を使い、簿記、単位の変換、利子の計算などへの応用を例にとって説明している。この本はヨーロッパの知識層へ広く受け入れられ、ヨーロッパ人の考え方そのものに大きな影響を及ぼした。 この本の中ではまた、「ウサギの出生率に関する数学的解法」などの諸問題に対する解答も記している。この解答で使用された数列が後にフィボナッチ数列として知られるようになる数列である。この数列は、インドの数学者の間では6世紀頃から知られていたが、西洋に初めて紹介したのはフィボナッチの書いた算盤の書である。 『算盤の書』は次の15章からなる。 インド・アラビア数字の読み方と書き方 整数の乗法 整数の加法 整数の減法 整数の除法 整数と分数の乗法 分数と他の計算 三数法、商品の相場 両替 合資算 混合法 問題解決 仮定法 平方根と立方根 幾何学(測量を含む)と代数学
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