整数の除法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 00:43 UTC 版)
演算の結果表・話・編・歴 加法 (+)項 + 項 = 和 加法因子 + 加法因子 = 和 被加数 + 加数 = 和 減法 (-)被減数 − 減数 = 差 乗法 (×)因数 × 因数 = 積 被乗数 × 乗数 = 積 被乗数 × 倍率 = 積 除法 (÷)被除数 ÷ 除数 = 商 被約数 ÷ 約数 = 商 実 ÷ 法 = 商 分子/分母 = 商 剰余算 (mod)被除数 mod 除数 = 剰余 被除数 mod 法 = 剰余 冪 (^)底冪指数 = 冪 冪根 (√)次数√被開方数 = 冪根 対数 (log)log底(真数) = 対数 整数 m と n に対して、 m = qn を満たす整数 q が唯一つ定まるとき、m ÷ n = q によって除算を定める。m は被除数(ひじょすう、英: dividend)あるいは実(じつ)と呼ばれ、n は除数(じょすう、英: divisor)あるいは法(ほう、英: modulus)と呼ばれる。また q は m を n で割った商(しょう、英: quotient)と呼ばれる。商 q は他に「m の n を法とする商」「法 n に関する商 (英: quotient modulo n)」 などとも言う。またこのとき、m は n で整除(せいじょ)される、割り切れる(わりきれる、英: divisible)あるいは n は m を整除する、割り切るなどと表現される。このことはしばしば記号的に n ∣ m と書き表される。除数 n が 0 である場合を考えると、除数 0 と任意の整数 q の積は 0 となり、被除数 m が 0 なら任意の整数 q が方程式を満たすため、商は一意に定まらない。同様に被除数 m が 0 以外の場合にはどのような整数 q も方程式を満たさないため、商は定まらない。 整数の範囲では上述のような整数 q が定まる保証はなく、たとえば被除数 m が 7 の場合を考えると除数 n が 1, 7, −1, −7 のいずれかでない限り商 q は整数の範囲で定まらない。整数の範囲で商が必ず定まるようにするには、剰余(じょうよ、英: remainder, residue)を導入して除法を拡張する必要がある。つまり、方程式 m = qn + r を満たすような q, r をそれぞれ商と剰余として与える。このような方程式を満たす整数 q, r は複数存在するが(たとえばある q, r に対して q − 1 と n + r の組は同様に上記の方程式を満たす)、剰余 r の取り得る値に制限を与えて一意に商 q と剰余 r の組を定めることができる。よく用いられる方法は剰余 r を除数 n より絶対値が小さな非負の数と定めることである。このような除法はユークリッド除法と呼ばれる。 m = qn + r かつ0 ≤ r < |n| これは、感覚的には被除数から除数を引けるだけ引いた残りを剰余と定めているということである。こうして定められる剰余はしばしば「m の n を法とする剰余」「m の法 n に関する剰余 (英: residue modulo "n") 」などと言い表される。剰余rが0でないことはしばしば「mはnで割り切れない」と表され、記号的に n ∤ m と表される。ユークリッド除法による計算例は以下の通りである。以下では除数を 4, −4, 被除数を 22, −22 としている。 0 ≤ r < |n| 22 = 5 × 4 + 2:商 5, 剰余 2 22 = (−5) × (−4) + 2:商 −5, 剰余 2 −22 = (−6) × 4 + 2:商 −6, 剰余 2 −22 = 6 × (−4) + 2:商 6, 剰余 2 「割り切れない」という用語はしばしば「小数点以下が無限に続く」の意で不適切に用いられることがあるが、「割り切れない」からといってそうであるとは限らない(たとえば上記の例では、「22は4で割り切れない」が、その有理数除算における商は「5.5」であり小数第一位までで表すことが出来る)。
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