整数ホッジ予想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 07:39 UTC 版)
ホッジの元来の予想は、 整数ホッジ予想 X を複素射影多様体とすると、H2k(X, Z) ∩ Hk, k(X) の中のすべてのコホモロジー類は、X の上の整数係数の代数的サイクルのコホモロジー類である。 であった。ところが、現在はこれが誤りであることが知られている。最初の反例は、Atiyah & Hirzebruch (1961) により提出され、K-理論を使い、トーション (torsion) を持つホッジ類の例として反例が構成された。トーションを持つホッジ類とは、ある正の整数 n に対し n α = 0 となるようなホッジ類 α のことをいう。そのような(トーションを持つ)コホモロジー類はサイクルの類にはなりえない。Totaro (1997) はこれらの結果をコボルディズムのフレームワークの中で再解釈し、トーションを持つ類の多くの例を見つけた。 整数ホッジ予想の最も単純な修正は、 トーションの剰余をとった整数ホッジ予想 (Integral Hodge conjecture modulo torsion) X を複素射影多様体とする。すると、H2k(X, Z) ∩ Hk, k(X) のすべてのコホモロジー類は、X の整数係数を持つ代数的サイクルのトーション類とコホモロジー類の和となる。 同値なことではあるが、H2k(X, Z) ∩ Hk, k(X) をトーション類で割ると、全ての類は整係数代数的サイクルのコホモロジー群の像 (image) となる。しかしこれも誤っている。Kollár (1992) は非代数的ではあるが代数的なサイクルの整数倍となっているホッジ類 α の例を見つけた。
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