整数値関数と形式和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/12 08:10 UTC 版)
「自由アーベル群」の記事における「整数値関数と形式和」の解説
与えられた集合 B に対して群 Z ( B ) {\displaystyle \mathbb {Z} ^{(B)}} が定義できる。ここに Z(B) は、集合としては B 上で定義された有限台を持つ整数値函数全体の成す集合であり(上付き添字のパーレンは、すべての函数を含む ZB と異なり、台が有限な函数のみを含むということを指し示すために付けられている)、そのような二つの函数 f, g に対して函数 f + g を、その各点での値が f, g 各々のその点における値の和として与えられるもの(つまり、(f + g)(x) := f(x) + g(x) (∀x ∈ B))とすれば、この点ごとの加法演算によって Z ( B ) {\displaystyle \mathbb {Z} ^{(B)}} にアーベル群の構造が与えられる。 与えられた集合 B の各元 x を Z ( B ) {\displaystyle \mathbb {Z} ^{(B)}} の元 ex に、 e x ( y ) = { 1 ( y = x ) 0 ( y ≠ x ) e_{x}(y)={\begin{cases}1&(y=x)\\0&(y\neq x)\end{cases}} によって対応付ければ、 Z ( B ) {\displaystyle \mathbb {Z} ^{(B)}} のすべての関数 f は f = ∑ x ∈ supp ( f ) f ( x ) e x {\displaystyle f=\sum _{x\in \operatorname {supp} (f)}f(x)e_{x}} と基底元に対応する函数の有限線型結合として一意的に表されるから、したがってこれらの元 ex は Z ( B ) {\displaystyle \mathbb {Z} ^{(B)}} の基底をなし、 Z ( B ) {\displaystyle \mathbb {Z} ^{(B)}} は自由アーベル群である。この方法で、任意の集合 B を自由アーベル群の基底にすることができる。 基底 B をもった自由アーベル群は同型を除いて一意であり、その元は B の元の形式和 (formal sum) と呼ばれる。それらはまた B の有限個の元の符号付き多重集合と解釈することもできる。例えば、代数的位相幾何学において、鎖(英語版)は単体の形式和であり、鎖群は元が鎖であるような自由アーベル群である。代数幾何学において、リーマン面の因子(有理型関数の零点と極の組み合わせの記述)は不可算自由アーベル群をなし、それは面の点の形式和からなる。
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