第1回アジアコスモポリタン賞 授賞式典
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平城遷都1300年記念アジアコスモポリタン賞受賞記念フォーラム「奈良フォーラム」において授賞式典が2012年12月18日に奈良県新公会堂(奈良県奈良市)で開催された。授賞式典のほか、「大賞」受賞のスパチャイ・パニチャパック(国連貿易開発会議UNCTAD事務局長)、「経済・社会科学賞」受賞のベネディクト・アンダーソン(米国コーネル大学名誉教授)、「文化賞」受賞の井上雄彦(漫画家)の各賞受賞者による講演、スリン・ピッスワン(ASEAN事務総長)と白石隆(日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所所長)による基調講演などが行われた。各受賞者は本受賞式典において以下のとおりコメントをしている。 大賞受賞者:スパチャイ・パニチャパック(国連貿易開発会議UNCTAD事務局長) 「私にも、また同行の妻にも、人生で最も幸せな時間だ。この受賞が25年ぶりに奈良を訪れる機会になったことはとても感慨深い。私は仏教を学び、人生には何事にも意味があると考えている。我々は不完全で、それぞれの価値観も違うが、周囲の状況に流されることなく、互いに問いかけ、信頼を高めることでそれを補うことができる。私はかつて銀行家だったが、その業務は人を育てること、人と人を繋げることだったと信じてきた。これからも専門である経済の分野、しかし常に人を繋げるという本質を忘れることなく、東アジア共同体の構築に力を尽くしたい。」 経済・社会科学賞受賞者:ベネディクト・アンダーソン(米国コーネル大学名誉教授) 「「コスモポリタン」とは、かつては故国のために力を尽くさない、低級な異国趣味ともされた。しかし私は、それを改めて、「他国で過ごした経験を、世界への理解に変える人」と定義したい。私は4カ国で学び、時には国を追われたこともあったが、そうした体験が私をナショナリズム研究の道へ進ませた。故国への愛着は、世界に対する学びの扉でもある。それを私は伝えたい。」 文化賞受賞者:井上雄彦(日本漫画家) 「漫画家の受賞は過分にも思えて、とても驚いているが光栄だ。漫画家は受け身の表現者で、海外で出会った子供たちから「スラムダンクを読んでいる」と聞かされ、意外なところで嬉しい思いをすることもあった。自分がコスモポリタンの名に値するかは分からないが、読者や鑑賞者と自分は、どこかで通じているはずだという思いはある。作品によっては説明を省き気味にしているものもあるが、人と人とが本来共有しているだろうものを心の底で信頼しながら、作品を作っている。」 メモラブル賞受賞者:ハディ・スサストロ(代理)リザルスクマ(インドネシア戦略国際問題研究所(CSIS)所長) 「本日の代理受賞は大変な光栄だ。私は故人に学んだ学生で、師が今日ここへ来られないことを残念に思う。師の業績が、こうして世界で認知されることは大きな喜びだ。師は東アジア全域の経済発展に貢献した偉大な人物だった。私自身は、師とは畑の違う防衛政策の専門家だが、師からは多くのことを学んだ。師が亡くなる2週間前に病院へ彼を見舞ったが、師は変わらず地域の経済協力について考えていた。師の偉業と理念を継いで、いかに東アジアの安定と発展に貢献するか、それが残された者の責務と信じる。」
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