穀物移出と東北地方の大飢饉とは? わかりやすく解説

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穀物移出と東北地方の大飢饉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 15:30 UTC 版)

天明の打ちこわし」の記事における「穀物移出と東北地方の大飢饉」の解説

天明2年1782年)は、西日本不作となって米価急上昇した一方東北地方一帯平年作であり、高騰した米価見た東北地方諸藩は争うように米を江戸大坂送り利益上げようとした。当時諸藩厳し財政難悩まされており、米価高騰財政難軽減する大きなチャンスであった。また盛岡藩広がっていた大豆栽培も、天明2年1782年)作の大豆のその多く大坂などに移出された。大豆商品作物としての需要があって財政難軽減に有効であり、農民たちにとっても現金収入得られるため、粟や稗などといった自給自足用の作物替わり大豆栽培増やすようになっていた。また領主ばかりではなく農民手持ちの米を売却するようになっていた。当時飢饉備えて穀物備蓄はあまり行われておらず、天明2年米価高騰東北地方からの米の移出加速させ、天明3年1783年)を前にして救荒用の備蓄はほとんど存在しなかった。 明けて天明3年1783年)は春先から関東から東北地方にかけて雨がち冷涼な日々続いた関東では7月になると例年通り暑さがやってきたが、東北地方現在の青森県岩手県宮城県福島県では、天明3年の夏は最後までほとんど夏らしい暑さやってくることはなかった。 天明3年東北地方太平洋沿岸現在の青森県では事実上夏が来なかった。すると大飢饉発生予感多く人々突き動かした天明3年7月には弘前藩領内一揆打ちこわし頻発したのを皮切りに盛岡藩白河藩仙台藩などに騒動拡大していった。弘前藩では後述のように大飢饉発生間近に迫っているのにもかかわらず当局江戸大坂への回米強行しており、打ちこわし時には米価高騰への抗議とともに回米反対スローガンとして掲げられ仙台藩では前年米価高騰乗じて回米積極的に推し進めた藩の役人宅が打ちこわされた。 各藩とも著し天候不順による大凶作が目前に迫る中、全く対策を取らなかったわけではない。まず米を原料とする酒造禁止、穀留という穀物他領持ち出し禁止という、かかる飢饉恐れがある場合にとる常套手段行った。しかし天明3年場合前年米価高騰もあって余剰の米自体ほとんどない状態であり、酒造禁止、穀留の効果はほとんど期待できないことは明らかであった。しかも弘前藩などは天候不順が続く中、天明3年7月下旬まで江戸大坂への米の移出続けていた。やがて極度不作現実のものとなる中で、各藩領外から穀類入手することを試みたものの、すでに穀留は広範囲広がっており入手極めて困難であった天明3年の秋以降多く人々飢饉苦しみ始める中、各藩はほとんど救援の手差し伸べることができなかった。また享保の大飢饉時には大飢饉陥った西日本に対して大名への拝借金大規模な回米などといったかなり迅速かつ大規模な救援幕府主導実施されたが、天明の大飢饉時には幕府わずかな大名拝借金認めたのみで、積極的な被災地救援乗り出そうとはしなかった。このような中、天明3年の米の作柄弘前藩皆無作に陥るなど惨憺たるもので、結局東北地方太平洋側現在の青森県では、天明3年から4年にかけて数十万人推定される餓死者が発生した

※この「穀物移出と東北地方の大飢饉」の解説は、「天明の打ちこわし」の解説の一部です。
「穀物移出と東北地方の大飢饉」を含む「天明の打ちこわし」の記事については、「天明の打ちこわし」の概要を参照ください。

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