穀物霊の殺害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 22:50 UTC 版)
フレーザーは、穀物を育てる『穀物霊』『植物霊』とでもいうべき存在を、未開の民衆が信じていたと考えた。これらは、人間に宿るが、収められた人間の弱さのため、新しい入れ物に移さないとならない。そのため、穀物霊が取り憑いたとされる人間を、儀式として『殺す』ことで、若く新鮮な穀物霊が復活されるとする。北ヨーロッパのケルト人、チュートン人、スラヴ人はかつて神に生贄を捧げていたことが確認されており、フレーザーは、コストロマの祭りは先祖の儀礼を模していると示唆している。 フレーザーの説に関して、プロップはロシアでの生贄の儀式を否定し、以下のような発展段階の説を述べる。もっとも原始的な段階で、植物や大地の「成長力」を具象化したものは、樹木であり、ロシアでは白樺だと考えられた。ルサールカの人形やかかしは、木を飾って作られた。次の段階では、植物の成長力が、樹木に移るという考えが現れる。ロシアの民は、木から分けられた力を、「人形やかかし」の形で擬人化した。生きた現実の人間ではない。擬人化された人形は、コストロマやヤリーロ、イヴァン・クパーロといった名前を与えられたが、皆が人形を気にするのは祭りの当日だけである。それらが神としてあがめられることはなかったとする。
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