社会主義国の改革と存続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 05:14 UTC 版)
「ソ連型社会主義」の記事における「社会主義国の改革と存続」の解説
ペレストロイカからソ連崩壊までの激動は、東ヨーロッパ以外の社会主義諸国にも大きな影響を与えた。ただし、これらの諸国では、共産主義政党のような一党支配や経済統制の放棄までは及ばない場合も多かった。 ベトナム社会主義共和国 前身が第二次世界大戦のベトミンであり、ベトナム戦争や中越戦争などの歴史からソ連共産党と親しく、中国共産党と敵対したベトナム社会主義共和国では、ベトナム共産党がドイモイと呼ばれる経済改革路線を採り、市場経済導入の積極推進と共産党の単独支配による国家体制の存続を両立させた。アメリカ合衆国との国交を回復させ、ASEAN諸国の一員として東南アジア諸国との連携・友好を深める一方、中国共産党との冷戦状態は直っておらず、日本・韓国との関係を重視しつつ両国の過去の戦争犯罪に対しては厳しく臨んでいる。 キューバ共和国 キューバ共産党が支配するキューバ共和国では、海で対峙するアメリカ合衆国の経済制裁の影響が続くため、経済改革は進まず、かつてのソ連型の社会主義体制が強く残った。ラウル・カストロに権力が委譲される前後から、中南米諸国に親キューバ的な社会主義政権が成立したこともあって、経済開放と自由化が限定された形ながらようやく進みはじめている。米国との国交もオバマ政権時代に復活した。 朝鮮民主主義人民共和国 朝鮮労働党が支配政党の朝鮮民主主義人民共和国では、金日成が死ぬと金正日に、さらに金正恩にと三代に渡って権力が世襲されて「金王朝」による支配が固定され、「金王朝」の主体(チュチェ)思想が国教扱いされるなど、絶対君主制の様相を呈している。政治面では、朝鮮人民軍を社会主義建設の主力とする先軍政治を掲げ、事実上の軍事政権と化した。経済面では、冷戦終結を受けた1990年代以来の混乱の中にあって、ソビエト連邦のような政府統制経済の運用はできていない。 2000年代以降の中南米諸国 2000年代以降の中南米諸国では、新自由主義政策への批判から、ベネズエラを筆頭に社会主義を掲げる政権が、貧困層を中心とした国民の支持を受けて相次いで成立し、政治的自由を保障するなどソ連型社会主義とは異なる21世紀の社会主義像を模索している。ただし、ベネズエラで2007年に行われた、社会主義体制への移行を銘打った憲法の是非を問う国民投票は、僅差で否決された。
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