登場から娘の出産まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/08 04:25 UTC 版)
5000年以上昔――現在では東と西に分かれている大陸は、かつてはひとつであった。神々は地上に降臨し、自身が選んだ民とともに暮らしていた。 そんななか、竜神トラク(Torak)は《アルダー谷》にある長兄アルダーの塔に出向き、事もあろうにアルダーを殴り、過去・現在・未来と強大な力を秘めた《アルダーの珠》を強奪してしまった。アルダーの弟子たちは他の兄弟神のところへ向かうべく、《アルダー谷》を後にした。 ある夏の終わりの日の午後、彼女は『待っていた』。北へ向かう1匹の雄の狼を。彼女はその狼と一緒にたわむれようとするが断られてしまう。実はこの狼、本物の狼ではなかった。狼の正体は人間で、名前はベルガラス――唯一民を持たなかったアルダー神の一番弟子。彼は《アルダーの珠》がトラクに盗まれたことを伝えるため、アルダーの末弟・熊神ベラー(Belar)のいるアローン人の土地へ向かっていたのだ。ベルガラスの到来をずっと待っていた彼女は、一緒にベラーのもとへ行くことにする。 ベルガラスと一緒にベラーを《アルダー谷》に連れてきた彼女は、ベルガラスの『兄弟』の間で注目の的になった。とくにベルゼダー(Belzedar)は、「狼はもっとも信頼できる動物ではない」と、彼女を軽蔑した。彼女はその言葉に怒り、思わずベルゼダーに牙をむく。この一件は彼女にとって最大の遺恨となり、数千年の後まで尾を引くことになる。彼女が疲れて身体を丸めている間に、アルダーと弟神たちとの長い長い会議は最悪の方向へ話がまとまる。アルダーが辛そうな面持ちで弟子たちに結論を伝えている間、彼女は《師》に頭を撫でられていた。 やがて、トラクと他の兄弟神が《アルダーの珠》をめぐり、人類を巻き込んだ戦争を始めることになってからも、彼女はベルガラスと行動をともにする。ベラー率いるアローン人とともにコリム山脈へ向かい、他の神々や彼らの民とともにトラクを包囲した。トラクの民・アンガラク人は大量虐殺され、窮地に追い込まれた彼は《アルダーの珠》を天に掲げた。その瞬間、大音響とともに巨大なヒビが大陸を縦断し、すき間に海水が流れ込んだ。大陸が東西に二分されたのだ――それでも彼女は人間ほど恐怖を感じず、驚嘆の眼差しで事のすべてを見届けたのだった。 人類の半分が死んだ悲劇に苦しむベルガラスをよそに、彼女は彼についていった。大陸を二分したトラクは《珠》で左腕と顔の左半分に一生癒えない火傷を負い、アルダーをはじめとする神々は《珠》を奪還する機会をうかがっていた。そうこうしているうちにベルガラスは3000回目の誕生日を迎えた。それを彼に教えたのは、ほかでもない彼女だった。それから数年後、ベルガラスは狼に変身する。そのプロセスを見ていた彼女は、彼の目の前で純白の梟に変身してみせた。「こうやるのね」とつぶやいて。 数百年後、彼女はベルガラスの前から姿を消した。それから20年近くが過ぎようとしていた頃、アルダーの命令でモリンド人のもとへ行っていたベルガラスの前に、彼女は姿を現す。黄褐色の髪を持つ人間の女性・ポレドラとして。《アルダー谷》の北端にある茅葺きの小屋で、彼女はベルガラスをもてなした。やがて彼女はベルガラスの塔に引越し、彼がモリンドランドから戻ってきた翌年の春に結婚した。 やがて、彼女は妊娠する。しかしその年の冬、ベラーの神託を受けたアロリアの王族が夫婦のもとを訪れる。アロリア王《熊の背》チェレク(Cherek Bear-shoulder)と3人の息子たちは、《珠》の奪還のためベルガラスの塔を訪れたのだ。《光の子》になったベルガラスが、やむなくチェレクたちと旅立った後、彼女は狼としての本能を持っていないお腹の子供たちの教育について《師》に相談した。その結果、子供たちが胎内にいる段階で教育を始めることになった。お腹にはふたりの娘がいたが、《意志》で語りかけ、それぞれに別々の教育をほどこした。同時に、双子の一方は《師》によって肉体を創り変えられた。肉体を創り変えられた娘こそ、のちに女魔術師ポルガラとなる子供である。 数ヵ月後、夫の『兄弟』ベルディン(Beldin)やベルティラ(Beltira)、ベルキラ(Belkira)が見守るなか、彼女は出産する。ちょうどベルガラスとアロリアの王族たちが、トラクの眠るクトル・ミシュラクから《アルダーの珠》を奪還した頃である。が、予想以上の難産のために『死亡』してしまう。しかし、この『死』は必要不可欠なものであった。彼女は《師》とその父ウル(UL)の命により、《光と闇の最終対決》が終わるまで精神体として世界を見張ることになったのだ。
※この「登場から娘の出産まで」の解説は、「ポレドラ」の解説の一部です。
「登場から娘の出産まで」を含む「ポレドラ」の記事については、「ポレドラ」の概要を参照ください。
- 登場から娘の出産までのページへのリンク