現象学的還元とは? わかりやすく解説

現象学的還元(超越論的還元及び形相的還元)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 04:37 UTC 版)

エトムント・フッサール」の記事における「現象学的還元(超越論的還元及び形相還元)」の解説

日常的に私たちは、自分存在世界存在疑ったはしない。なぜなら、私たちは、自分が「存在する」ことを知っているし、私の周り世界もそこに存在していることを知っているからである。フッサールは、この自然的態度を以下の3点から特徴づけ批判する認識対象の意味存在自明的としていること 世界存在不断確信世界関心枠組みを、暗黙前提としていること 世界関心への没入による、意識の本来的機能自己忘却 このような態度の下では、人間は自らを「世界の中のひとつの存在者」として認識するとどまり世界存在自体の意味起源問題とすることができないこのような問題を扱うために、フッサールは、世界関心抑制し対象に関するすべての判断理論禁止するこのような態度エポケーという)ことで、意識純粋な理性機能として取り出す方法提唱した

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現象学的還元

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 03:33 UTC 版)

現象学」の記事における「現象学的還元」の解説

上述のように、学を基礎づけるためには真理本質認識が必要であり、その認識明証的な直観によってしかなされえないが、では学を基礎づけることが可能な絶対的な明証とはどんなものか、という問い生まれる。この問いいかなるものかを知るためには、まず明証を、そしてさらにその明証を生みだす志向性としての意識ありかた突き止めなければならない。つまり、対象対象として構成する志向的意識体系的解明という超越論的課題あらわれてくる。さらに『論理学研究』ののち、時間意識研究とともに深まった志向的意識自己構成について絶対的主観性究明という動機もあり、現象学的還元(独:phänomenologische Reduktion)によって自然的態度離れ意識志向性そのもへと視線を向けることが求められてくる。ここにおいて現象学は、『論理学研究』の時代にはまだ払拭されきっていなかった記述心理学的な要素捨象し、理性そのもの批判的考察へと、すなわち超越論的現象学へと深化されていく。 日常的に自然的態度において私たちは、自分存在世界存在疑ったはしない私たちは、自分が「存在する」ことを知っているし、私の周り世界もそこに存在していることを疑わないフッサールはこの自然的態度根本的特徴を、自明的な世界一般定立として批判する。そして、意識志向性捉えるためにはあえてこの現象学的還元という反自然的な反省行い、すでに定立され実在していると考えられている世界の意味構成的起源である超越論的主観性発見しなければならない。以下に挙げたものは、意識対象へと素朴に向かっている遂行態としての自然的態度特徴として、フッサール示したのである認識対象の意味存在習慣的に自明みなしていること 世界存在不断確信世界関心枠組みを、暗黙前提としていること 世界関心への没入による、意識の本来的機能である理性自己忘却 このような態度の下では、人間は自らを「世界の中のひとつの存在者」として認識するとどまり世界存在自体の意味起源問題とすることができない科学的な方法依拠する自然主義的態度どもまた、すでに前提された対象一定の方法的視点から規定しようとするものであり、あらため対象その構成を問うものではないという点において、自然的態度圏域にとどまる。このような問題を扱うために、フッサール世界関心抑制し対象に関するすべての自然的態度依拠し判断理論中止するこのような現象学的態度エポケー判断停止といい、また譬喩的に「括弧に入れる」などともいわれる)ことで意識機能しているがままの相において取り出す方法提唱した。 しかし、このような態度変更原理的に可能であるのか、という問いがここで生じてくる。あるひとつの対象定立遮断したり、あるいは中止したりすることは可能であろうが、自然的態度における一般定立とは世界そのもの定立であり、われわれが日常において疑うことのないものであるから、そのようなものがはたして疑いえるのかという問い提出されるこのような問い答えるため、フッサールはここでデカルト普遍的な懐疑という方法部分的に採用する。すなわち、不可疑的なものを発見するためにデカルトが行った普遍的懐疑から、可疑的な定立否定という要素捨象し、不可疑的な明証発見という目的のためにこの方法的懐疑使用するである。それゆえフッサールエポケーは可疑的なものの定立中止し、その定立括弧に入れるが、しかしその定立否定した反定立転化することはない。このように現象学的還元こそが、それ自体として絶対的に不可疑的なものである超越論的主観性発見方法である。この超越論的な現象学的還元によってとりだされた超越論的主観性とは、素朴に対象実在措定するという作用遮断されており、それゆえ対象意識によって構成されていることが自覚されている。であるからこそ、意識本質的なありかたである志向性という意識対象相関関係解明していくことができる。 しかし、『イデーン』第一巻において示されているこの現象学的還元の方法いわゆる現象学的還元のデカルト方途は、世界存在の可疑性に対して意識の存在不可疑性を対置し、その絶対的明証性によって純粋意識領分へと一挙に飛躍してしまうものであったそれゆえ意識やその志向性への考察深化していくうちに、フッサールはこのデカルト方途から離れていき、より現象そのもの捉えている現象学的還元の非デカルト方途探っていくこととなる。デカルト方途では、世界存在は可疑的なものとして斥けられていたが、現象学的世界考察進展とともに、その世界存在あるいは非存在こそが現象学的反省によって決定されるべきもので、超越論的主観性としての意識世界相関関係解明をまたずして、世界意識明証論ずるべきではないとされていったこのように、現象学的還元の非デカルト方途において、世界志向的意識相関者として現出しつつある世界であり、こういった動態的志向性把握が、発生的現象学へと発展していく。

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