時代背景とその成立とは? わかりやすく解説

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時代背景とその成立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 03:33 UTC 版)

現象学」の記事における「時代背景とその成立」の解説

19世紀末ヨーロッパにおいては実証科学興隆のもと、数学論理学領域で、心理学主義生物学主義的な、心理的現象から論理基礎づけようとする思想席巻していた。心理学主義とは、あらゆる学問基礎心理的な過程に基づけようとする試みである。数学研究から出発したフッサール関心も、はじめは心理学から、当時数学界において論争となっていた数学基礎論心理学的に基礎づけようとするものであった。この考えのもと、フッサールブレンターノ記述心理学立場から数学の特に算術解明目指した『算術哲学――心理学的論理学諸研究』を1891年出版した。 しかし、この著作数理哲学G.フレーゲなどのきびしい批判を受けることとなった。その批判とは、もし数学論理学などの客観的なものが主観的な心的表象還元されてしまうならばいかにして学問客観性を保つことができるのか、というものであった。この批判受けて、またフッサール自身このような心理学主義原理的困難に逢着し、「論理学本質についての、特に認識作用主観性認識内容客観性との相互関係についての一般的な批判反省」へと、すなわち現象学へと進んでゆくことになったフッサールは、大学で約2年間師事したフランツ・ブレンターノの「志向性」(独: Intentionalität) の概念継承したブレンターノにおいて、「志向性」とは意識が必ず相関者(対象)を指し示すこと、言い換える意識とは例外なく「何かについての」意識であることを意味するブレンターノ自身は、志向性概念心理作用分類用いただけであったが、フッサールは、「意識はつねになにものかについての意識である」という命題端的にあらわされている、意識相関者(対象)が常に相関関係にあるという志向性特徴着目し、この相関関係における対象実在留保することで、志向性概念認識論的発展させていったまた、現象学的還元との関係において、意識体験のうちにふくまれるものを内在(独:Immanenz)、ふくまれないものを超越(独:Transzendenz)と呼び、この対概念によって純粋意識としての志向性構造あきらかにようとした。さらに、後述するように、フッサール志向性意識理性への超越論的考察のもとに、より豊かで動態的志向的能作概念として捉えなおされてゆくことになる。

※この「時代背景とその成立」の解説は、「現象学」の解説の一部です。
「時代背景とその成立」を含む「現象学」の記事については、「現象学」の概要を参照ください。

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