現代の道教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 15:00 UTC 版)
中国本国においては、道教は五四運動や日中戦争、また中国共産党の宗教禁止政策などによって打撃を受けたが、近年徐々に復興している。現在まで途絶えることなく継承されてきた道教の宗派は台湾に拠点を移した正一教で、台北市の覚修宮に本部が置かれ、第64代天師の張源先まで法統が保たれ、継承されてきた。 詳細は「正一教#第65代継承問題」を参照 現代の中国においては、出家主義をとる全真教と在家主義をとる正一教が盛んである。前者は北京の白雲観を拠点として主に北方で信仰され、後者は江西省龍虎山を拠点として南方で多くの信仰を集めている。寺院は中国本土に1500ほどあるとされ、道士は2万5千人ほどであるとされる。両派を包括する中国道教信徒の組織に「中国道教教会」があり、機関紙『中国道教』を発刊している。中国道教教会は1957年に発足し、1967年から1979年までは文化大革命によって活動が停止されたが、1980年に活動を再開した。 現在まで存在する道観には以下の例がある。 北京白雲観中国道教教会が置かれ、中国道教の中心地となっている道観。もとは唐代に立てられた老子廟の一つで、元代に全真教の丘長春が住んでからより重視されるようになった。近現代では中国最大の十方叢林として全国から集まる道士に戒律を与える中心施設であった。 瀋陽太清宮中国東北地方の最大の道観。1665年の創立で、当初は太上老君・至聖孔子・釈迦牟尼仏を祀り「三教堂」と呼ばれたが、光緒年間に「太清宮」と改名した。東北道教の中心地である。 茅山道院上清派の中心地で、江蘇省南京市の郊外にある。茅山は漢代に茅君の三兄弟が飛来した地と伝えられ、許氏父子や陶弘景らが修行をして上清派の聖地となった。その後も道士が跡を継ぎ、現在で79代目であると言われている。 龍虎山天師府歴代の張天師がいる正一教の中心地。江西省の貴渓県にある。五斗米道の張氏が蜀を追われてから、第4代の張盛がここに腰を落ち着けたと伝えられる。第63代目の時に国共内戦によって天師が台湾に逃れたが、再び復興が進められている。 嵩山中岳廟河南省洛陽市の郊外にある。中国に古くからある五岳への信仰から、五岳真君を祀る岳廟が建設された。五岳の祭祀は国家的な行事であるが、その管理と祭祀の実効は道士に任せられてきた。通常の道観とは異なるため。規模が極めて大きい。 武当山紫霄宮湖北省の北部にあり、古くから玄武信仰の根拠地となってきた。特に明朝の信仰が厚く、永楽帝の碑が収められているほか、多くの明初の建築物がある。また、道教式武術のメッカであるとされる。 ほか、羅浮山冲虚観・青城山常道観・周至楼観台などがある。
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