炭水化物の生理作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 23:54 UTC 版)
人体が炭水化物を摂取すると、デンプンの場合唾液で加水分解され、胃液や膵液で二糖類のマルトースまで分解され、最終的に小腸の上皮細胞に存在するマルターゼ、スクラーゼ、イソマルターゼ、ラクターゼ、トレハラーゼなどの二糖類水解酵素により単糖類のグルコース、フルクトース、ガラクトースなどにまで分解されて初めて腸管からの吸収を可能とする。これは脂質が脂肪酸やモノグリセリド、タンパク質がアミノ酸、核酸が塩基や糖にまで分解されるのと同じであり、これら吸収される状態の物質は最終分解産物と呼ばれる。水に不溶性の脂質系最終分解産物と異なり、ミセルなどを作らず吸収されるとそのまま門脈血の中に溶け込む。 体内における糖質の主な働きは細胞においてエネルギー源となる事である。血液中に溶けたグルコースは血糖と呼ばれ、細胞に適宜取り込まれると内呼吸(好気呼吸)もしくは嫌気呼吸によって各種生体活動のエネルギー源となるATPを合成する。 エネルギー源として重要であるグルコースは、ホメオスタシスによって体内濃度が調整される。上昇すると膵臓のβ細胞からインスリンが分泌され肝臓や細胞が取り込む動きを活発にしたり、グリコーゲンや脂肪への変換を促す。逆に低下すると膵臓のα細胞からグルカゴン、副腎皮質のクロマフィン細胞からカテコールアミンが分泌され、細胞中のグリコーゲンが分解して血糖値が上がる。 グルコースは植物ではデンプンとして体内に蓄えられる。植物の体はセルロースという多糖によって構成されている。セルロースはデンプンと同じグルコースの多量体であるが、結合様式が異なるため、化学的に極めて強靭な構造を持つ。セルロースは細胞壁の主成分として活用されている。 また、細胞の表層には、糖鎖と呼ばれる糖の多量体が結合している。これはタンパク質に対する受容体ほど強くは無いものの、生体内である種の「標識」としてはたらいている。
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