濁川 (長野県)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/30 14:10 UTC 版)
濁川 | |
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![]() 軽井沢町追分三ツ石を流れる濁川 | |
水系 | 一級水系 信濃川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 17 km |
水源 | 石尊山 |
水源の標高 | 1,500 m |
河口・合流先 | 千曲川 |
流路 | 長野県北佐久郡軽井沢町・御代田町・佐久市 |
流域 | 長野県北佐久郡軽井沢町・御代田町・佐久市 |
血の滝(赤滝) | |
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所在地 | 長野県北佐久郡軽井沢町追分[1] |
位置 | 北緯36度22分32.2秒 東経138度32分00秒 / 北緯36.375611度 東経138.53333度[2] |
落差 | 9[1] m |
水系 | 信濃川水系濁川 |
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濁川(にごりがわ)は、長野県北佐久郡軽井沢町・御代田町・佐久市を流れる川で、信濃川水系の一級河川[3]。
概要
長野県東信地方、北佐久郡軽井沢町西部、浅間山の南にそびえる石尊山の東側(標高1,500メートル)に端を発し、南南西の方向で直線的に流れ、御代田町を経て佐久市塚原にて流れを西に変え、塩名田で千曲川(長野県内における信濃川の呼称)に合流する[4]。長さは17キロメートルである[5]。
その名が示す通り、濁った水が常に流れている。集塊岩の奥からわき出る源泉は硫化水素の強いにおいを放ち、渋味がある[6]。水の色は、わき出た直後こそ澄んでいるものの、硫化鉄や遊離炭酸を多く含んでいることから、数十メートル流下するうちに褐色に濁る[6]。源泉から下流の標高1,000メートル地点までの間の川底には、赤みがかった褐色の沈殿物が厚く積もり、固まっている[6]。上流では流路の周辺で高師小僧(褐鉄鉱)を採取することができる[4]。
1965年(昭和40年)から源泉の成分と火山活動の関係についての研究が行われているが、詳しいことは判っていない[6]。石尊山に直接付随する地下水だとする説もある[6]。源泉の近くには褐色の水を湛える血の池やおはぐろ池があり[6]、さらにそこから若干下ると落差9メートルの滝になっており、これは血の滝または赤滝と呼ばれている[1]。なお血の池近辺は、地図上では軽井沢町のように見えるが、下流で濁川の水を利用する御代田町の飛地となっている[7]。
流れる途中で支流や地下水が合流し、軽井沢町を過ぎて御代田町に入るころには水量が増え、色も薄めの黄白色となる[6]。軽井沢町と接する御代田町の清万(標高940メートル)では水中にプラナリア(ウズムシ)やカワゲラが見られ、濁った水ながら水質はきれいな部類に入る[8]。しかし、下流の佐久市と接する御代田町の小田井(標高770メートル)では、水の色が黒みがかった黄白色となる。家庭からの雑排水が流れ込んで水質汚濁が進んでおり、ヒルやミズムシも見られるようになる[9]。
しなの鉄道線の線路をくぐると分水して、御代田町や佐久市に広がる農地への灌漑用水として利用される[6]。小さい川ながら、流域の農家にとっては灌漑用水の水源として重要な川である。[10]。広大な農地を潤すのに濁川の水だけではまかないきれないことから、江戸時代の慶安年代に千ヶ滝を水源としている用水路から水の供給も受けている[5]。
ギャラリー
脚注
- ^ a b c 「さわやか信州旅.net 赤滝」より(2012年5月21日閲覧)。
- ^ 座標は「ウォッちず」にて「血の滝」をキーワードに検索して得た(2012年5月21日閲覧)。
- ^ 『河川大事典』739ページ。
- ^ a b 『北佐久郡志 第一巻 自然篇』217ページ。
- ^ a b 『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』141ページ。
- ^ a b c d e f g h 『御代田町誌 自然編』136ページ。
- ^ “みよた広報 やまゆり7月号 p.10 - 11 (PDF)”. 2012年5月20日閲覧。
- ^ 『御代田町誌 自然編』154、155ページ。
- ^ 『御代田町誌 自然編』155ページ。
- ^ [https://www.pref.nagano.lg.jp/mizutaiki/kurashi/shizen/mizukankyo/kankyo/documents/panf.pdf 信州の名水・秘水
参考文献
- 日外アソシエーツ編集発行『河川大事典』1991年。
- 北佐久郡志編纂会編纂発行『北佐久郡志 第一巻 自然篇』1956年。
- 御代田町誌編纂委員会編纂『御代田町誌 自然編』御代田町誌刊行会、1995年。
- 『日本歴史地名大系 第20巻 長野県の地名』平凡社、1979年。
関連項目
外部リンク
- 濁川 (長野県)のページへのリンク