法規・行政上の待遇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 00:35 UTC 版)
自転車は、法規や行政の上で、車両であるにもかかわらず歩行者に近い扱いを受けることが多い。「自家用車と違って燃料の消費等を通じてその利用を把握しにくく、かつ、基本的な移動手段としての性格を有する」(「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本的方向—80年代の交通政策のあり方を探る」第二部第四章第三節)ために、運輸行政上“交通機関”とみなされてこなかった、との指摘がある。 道路交通法第63条の7により交差点を通行する際に自転車横断帯を進行することが義務づけられているが、その大部分が歩道通行を前提に横断歩道の車道側に沿って設けられている。車道を走行してきた自転車がこれに従った場合に歩行者や自動車との事故が多発したことなどから、自転車横断帯は順次撤去されているが、いまだに残存する横断帯があり、法改正もなされていない。 自転車横断帯のある交差点では、歩行者用信号機に「歩行者自転車専用」との補助標示板が付けられていることが多く、この場合自転車はこれに従うことが義務づけられている(道路交通法施行令第2条第4項)。しかしながら、同信号が歩道上に設置されていることにより、そもそも車道の自転車と対面しているといえない、夜間においては「歩行者自転車専用」の表示板は発光しておらず見えない、車道において同信号機の赤の灯火に従った場合に後続の自動車に追突されるおそれがある等、道路交通法第1条の立法趣旨とかけはなれたさまざまな現実的な矛盾を抱えたままの設置運用がなされているという問題がある。「日本の交通信号機#自転車用信号機」も参照 車両通行帯がある道路(公安委員会が道路標示により指定した片側2車線以上の道路)において、自転車は第一通行帯の中央よりやや左側を走行することにより、本来は安全に走行できる(後続車両の追い越しは第二通行帯への車線変更義務がある。道路交通法第20条1項、同法第20条3項)はずであるが、自転車は常に車道の左端寄り通行の義務があるかのような誤解を生じやすい警察庁等の広報と、車両通行帯があるかどうかの判別が外観からは困難であること等により、道路交通法第18条及び同法第20条の立法趣旨に反した運用状況となっており、車両通行帯を走る自転車は危険にさらされている。詳細は「車両通行帯」を参照 サイクリングロードなど自転車以外の車両の進入が原則として禁止されている箇所の入口に設置されている車止めに「車両進入禁止」と書かれていることも珍しくないが、自転車は道路交通法上の「車両」である。 左折レーンのうち特に2車線以上のものや交通島によって構造的に分離されるものなど、車両通行帯の設計や信号機の運用により、自転車が安全に直進や右折をすることが困難な交差点をはじめ、自転車での通行がまったく考慮されていない設計の箇所がみられる。[要出典] このほか法令などの影響により、日本では普通自転車に該当しない特定の車種の自転車を目にする機会が諸外国に比べ少なくなっている[要出典]。たとえばタンデム車については、サイクリングロード以外の公道での二人乗り走行が禁止されている場合が多かった。ただし、2010年代以降徐々に都道府県別に解禁される自治体が相次いでおり、2019年中までに47都道府県中27都道府県までが、タンデム車二人乗りの原則解禁、または条件付き解禁を行っている。
※この「法規・行政上の待遇」の解説は、「日本の自転車」の解説の一部です。
「法規・行政上の待遇」を含む「日本の自転車」の記事については、「日本の自転車」の概要を参照ください。
- 法規・行政上の待遇のページへのリンク