法的推進への動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 14:34 UTC 版)
「フィルタリング (有害サイトアクセス制限)」の記事における「法的推進への動き」の解説
フィルタリングに対する個別の規制措置が検討される以前においては、「青少年有害社会環境対策基本法案」等において包括的に青少年環境整備を規律する法律案が検討されていた。具体的には、青少年有害社会環境対策センターを通じて、行政機関が有害情報掲載事業者に対する行政指導を行い、受諾しない場合に事業者名の公表を行う内容であった。 しかし、「青少年有害社会環境対策基本法案」に対しては、『「青少年有害環境のもたらす弊害が深刻化し、かつ増大している」というが、具体的にどのような現象を指すのか。また、少年犯罪の増加や凶悪化・それらと外的環境との明確な因果関係は、科学的・統計学的に証明されていない(少年犯罪そのものは昭和30年代がピークで件数は統計上はむしろ減少している)。』などの反対意見が多かったため、「青少年有害社会環境対策基本法案」は成立していない。 2007年12月10日、総務省は、携帯電話・PHS事業者などに対して、フィルタリングの導入促進のため、新規契約時における青少年のフィルタリング使用の原則化と不使用についての親権者の意思確認実施、及び既存契約者に対する意思確認の実施を促す総務大臣要請を発表した。 2008年4月17日、教育再生懇談会において、有害情報対策をめぐる状況について討議され、内閣総理大臣福田康夫(当時)は「携帯のフィルタリングの普及という議論の前に、携帯を持つべきかどうかということを議論していただいた方が私はいいと思う。」という見解を示した。 2008年4月25日、総務省は、「携帯電話・PHSのフィルタリングサービスの改善等に関する携帯電話事業者等への要請」を行った。その内容は、フィルタリングサービスの導入促進として、第三者機関により認定されたサイトや推奨されたアクセス制限すべきカテゴリーが反映されるよう協議し、対応することや、その周知と早期実施、親権者からの申告がない原則ルールとしてブラックリスト方式(特定分類アクセス制限方式)を適用すべきであること、親権者の意思確認を確実に実施すること、及び利用者の選択肢を増やす施策として、利用者において個別にサイトやカテゴリーへのアクセスを許可設定ができるサービス等の提供を検討し、早期対応、周知を図ることであった。 2008年6月11日、参議院本会議で「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年インターネット環境整備法)が可決成立した。同法は、携帯電話事業者に対しては、保護者が不使用を申し出ない限り、フィルタリングの提供義務を課し(17条)、プロバイダに対しては、利用者の求めに対するフィルタリングの提供義務を課すこと(18条)や、フィルタリングソフトウェアの開発事業者やサービス提供事業者に対して、青少年の発達段階や利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること、閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすることに配慮する努力義務を課すこと(20条1項)を定め、フィルタリング推進業務者に対する任意での登録制度(24条)も盛り込まれた。
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